2000年度に実施された「京都市同和地区住民生活実態調査」でも明らかなように、市内の同和地区では高齢化率が27.9%に達し、一般地区の18%と比較すれば、約10ポイントも高い状況にあります。その大きな要因の一つに、若年層の地区外流出と少子高齢化が急激に進んでいることが挙げられます。さらに高齢化問題だけでなく、若年層の離婚等によるひとり親家庭の児童・生徒の低学力実態、低所得化など、新たな課題も露呈しています。
このような若年人口の流出や高齢化、生活困難層等の課題に対応していくために、今、各地区では改良住宅の建替えを契機に「まちづくり協議会(仮称)」を立ち上げて、住環境だけでなく保健、福祉、教育、啓発などの各分野から見た「まちづくり」が模索されています。
しかし、一部の地区の現状を見ると、建替えのために居住面積や家賃などに重点が置かれ、新築後の住まい方等は従前と変わっていない地区があります。具体的には、狭隘な居住面積が改善されたにもかかわらず、廊下に物置用の収納庫が置かれたり、ペットの飼育・自転車マナー問題などがあり、住民の自治意識も「まちづくり協議会(仮称)」の中で協議する必要があると思います。また、多様な住宅整備だけでは若年層の地区外流出を止めることにはならず、Uターンを呼びかけても若者は戻ってきませんし、若年層が定住するだけでは活性化は期待できません。
むしろ外資系の企業やコンビニ・ミニスーパーを誘致したり、「まちづくり協議会(仮称)」や各団体が様々な事業を展開したり、また、コミュニティセンターに証明書発行コーナーを併設するなど、交流人口の活性化・安定化を図ることによって、まちを蘇らせることができます。
そういったことから、今回より本分科会では従来の保健・福祉分野に加え、さらにエリアを拡大して、賃貸住宅をはじめ定期借地権付き住宅、トータルリモデル住宅、高齢者グループホーム、障害者グループホームなどの施策を活用し、さらに民間のコンサルタントや開発企業者から見た「まちづくりのあり方」、全国の先進地からの実践報告などをいただき、各地区のまちづくりに活かしていただければと思っています。
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