第一分科会 部落の歴史
京都部落問題研究資料センター通信NO12・灘本論文
〜 「部落解放に反天皇制は無用」をめぐって〜
会場 京都会館第二ホール
2003年4月25日づけの京都部落問題研究資料センター通信NO12において「部落解放に反天皇制は無用」と題する論文(灘本昌久)が掲載されました。論文の最後に「なお本稿は、灘本個人の見解であって、資料センターの統一見解ではない。関係者が灘本と同一意見をもっているわけではないことをお断りしておく」と「注」があります。この灘本論文(今後こう呼ぶ)では、まず部落解放同盟の第54回全国大会(1997)での綱領改訂を階級闘争主義・階級史観の放棄と捉え、反天皇制条項が残っている事にひっかかりを「しかし、本当に部落差別の元凶が天皇・天皇制であり、部落解放運動がそれへの反対・対決を中心的なスローガンとしてかかげつづけなければならないものだろうか」としている。また自らの運動経験、天皇の戦争責任の問題を学問的論争を紹介し、さらに中世時の天皇と河原者の関係性を述べ、部落の起源まで言及して、一貫してこの両者(天皇と被差別部落)の親密性をといている。さらに解放令時、水平社側の天皇制の論争までふれ、必ずしも対決の存在ではないとしている。そして、戦後の部落解放委員会の天皇制に対する態度にも言及し、現在の部落解放同盟京都府連合会の反天皇運動の根幹に関わる批判をしている。
この灘本論文に対して、資料センター通信NO13に前京都部落史研究所の責任者である師岡佑行さんが「反天皇制は部落解放の核心である」と題した論文を発表した。師岡論文は(今後は師岡論文と呼ぶ)、「近頃、さっぱり議論されない、忘れ去られようとしている、天皇制と部落問題を取り上げて論じたのはある意味画期的といえる」とした上で、自らの戦争体験を交え、戦前の共産党と学者との論争や天皇の戦争責任に言及し、灘本論文は天皇制認識を歴史的に踏まえない論で勇み足であるとしている。本分科会では、この論争を部落解放理論に関わる根幹であると考えて、タブー視するのではなく、灘本昌久さん(京都府部落問題研究資料センター・所長)を招いて市民の前で広く議論します。なお当日はこの問題だけに限らずさまざまな内容にふれます。
戻る
|