ごあいさつ

開催要項

分科会紹介

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第34回 分科会紹介

第一分科会

〜地域における部落史研究の試み〜


現在、京都市内には、十数組の六斎念仏が伝承され、国の重要無形民俗文化財に指定されています。そのほとんどが様々な芸能を持つ芸能的六斎で、「空也堂系六斎」ともいわれています。吉祥院六斎念仏はその代表的なもので、4月と8月の25日夜に地元の吉祥院天満宮に奉納されています。吉祥院天満宮境内で奉納される「吉祥院六斎念仏踊り」は、長い歴史と伝統を持ち、京都の著名行事の一つとして、広く市民や観光客にも親しまれています。

 吉祥院部落で六斎念仏の伝承・保存を支えてこられたのは、ただ単に伝統文化であるからだとか、全国的に広く紹介され、京都を代表する民俗文化財であるからではありません。吉祥院六斎保存会の皆さんが、厳しい部落差別の中にあっても六斎念仏を通じて自ら差別に闘いを挑んできた、生きた歴史があるのです。吉祥院部落の人々は、譜面もない中で、教え合い、競い合いながら技を磨いて、他の六斎組に追いつき追い越せと弛まぬ努力を積み重ねました。この間、幾度も廃絶の危機があり、「天満宮の舞台へ部落の者を登らすな!」と差別を受けながらも、「祖父・父親の差別を受けた屈辱を思えば、絶対にやめるわけにはいかない!」と、熱い思いで乗り越えてきました。吉祥 院部落における六斎念仏の歴史は、差別との闘いの中から生まれ、

差別と共に生まれてきたと言っても過言ではありません。
吉祥院六斎念仏には、どのような由来があるのか。部落差別と の関わりは何か。また、地域の子どもたちが、その歴史を学ぶ中 で立ち上がっていく経過をプレゼンテーションでご覧いただき、 その後、「吉祥院六斎念仏踊り」の実演を観ていただきます。 本分科会では、部落の歴史を通じて、「まちづくり・ひとづくり」にどうつなげていくのかを討議していきたいと思います。