第47回人権交流京都市研究集会
第1分科会
部落と人権
人権のまちづくり・人づくり 今
会場 大谷大学2号館2301教室
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報 告
「ひとり親家庭のこどもの居場所づくり事業」
○田邊 由美(NPO法人あかしやふれあいネットワーク)
「まちづくり・人づくり」
○小倉 睦弘(一級建築士 まちづくりアドバイザー)
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パネルディスカッション
【コーディネーター】
○渡辺 毅(穀雨企画室)
【パネラー】
○妻木 進吾(龍谷大学経営学部准教授)
○川口 浩(京都市都市計画局住宅室
すまいまちづくり課担当課長)
○小倉 睦弘(一級建築士 まちづくりアドバイザー)
担当団体 部落解放同盟京都市協議会
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第1分科会では「人権のまちづくり・人づくり 今」をテーマに、実践報告とパネルディスカッションが行われた。コーディネーターは穀雨企画室の渡辺毅さん。
最初に、全体会でも講演した龍谷大学の妻木進吾准教授が、大阪市内の被差別部落実態調査に基づいて現状を分析。部落には、新たな流入者も含め低学歴や低所得など生活困難要件を抱えた人々が今も滞留しており、大阪と京都では事情が異なるが、この傾向は簡単には変わらないだろうと指摘した。これを受けて渡辺さんが「『部落の豊かさ/住みやすさ』とは何か」と問題提起した。生活困難層が滞留している部落では、高学歴や高所得が担保されていなくても、相互扶助のしくみや精神が浸透することで、豊かさや住みやすさを実感できる、そんなまちづくりを進めることも一つのありようではなかろうか、と。
続いて2つの実践報告がなされた。NPO法人あかしやふれあいネットワークの田邊由美さんは、西三条地区でのひとり親家庭の子どもの居場所づくり事業について報告。まちづくりアドバイザーの小倉睦弘さんは、千本地区での住棟建て替えを契機としたまちづくりについて報告をした。両実践は、高学歴や高所得を必ずしも要件としない「豊かさ/住みやすさ」を、ソフト、ハードの各面から追求する内容であったといえよう。
一方、京都市すまいまちづくり課の川口浩課長は「京都市市営住宅ストック総合活用計画」の概要を報告。ストック総合活用は、老朽化した住棟を解体する際、住民に「建て替え」住棟を保障するのではなく、別住棟の空き室への転居を促すというもので、団地再生を契機としたまちづくりの展開を視野に入れているとのことであったが、原則的には建て替えに係る費用の節減が目的であろうと思われた。
パネルディスカッションでは、十分に議論を尽くす時間はなかったが、京都市の「ストック総合活用」に懐疑的な意見が出されるなどした。老朽住棟が解体され、建て替えが行われずに空き土地が別に転用され、例えば商業施設やマンションが建った場合、まちづくりの展開が促されるよりも、転用土地と旧来の部落との間に新たな線引きがなされるだけではないのか、等々。「豊かさ/住みやすさ」を住民の側に立って追求する立場と、行政施策を推進する立場との間にある「ずれ」が、改めて浮き彫りになった。
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