ごあいさつ

開催要項

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第34回 第四分科会

第四分科会 【まちづくりU】


   だれもが、安心して住み続けられる、まちづくり

  〜地区施設を活用した学区ネットワークづくりと地域福祉の充実を目指して〜

 

    日 時  2003年2月15日(土)午後1時30分〜4時30分

    場 所  みやこめっせ 大会議室

 

  ■パネルディスカッション

 

      司   会      谷口 眞一  (部落解放同盟京都市協議会)

      コーディネータ−  宮崎  茂  (部落解放同盟京都市協議会)

      パネリスト      江口 尚志  (京都市保健福祉局福祉部障害福祉課)

                  勝本  司   (知的障害者通所授産施設かしの木学園)

                  保住  進   (京都市聴覚言語障害センター)

                  衣川 幸弘  (あかしやふれあいネットワーク)

      記   録      山中 武志  (部落解放同盟京都市協議会)

                  木村 俊典  (部落解放同盟京都市協議会)

      担   当      谷口 眞一  (部落解放同盟京都市協議会)

 

    参加者数 102名

 

 

内  容

 

 

宮崎コーディネーター

  集会そのものは34回目であり、34年前に特別措置法が作られたときに、部落問題を市民みんなの手で、ということで、部落問題を行政と教育関係者と地元運動団体だけでなく市民にも分かってもらおうよ、ということで始まった。また、30回までは部落問題が中心であったが、31回からは人権問題という形で入れることになった。

 この間、法律が後ろ盾となっていたが、法律が失効して初めての集会ということが今年の集会の大きな特徴である。

  そうした中、この分科会は、3〜4年前から法律の失効を見据えた運営を行っており、各地区にある地区施設を部落問題の解決、また同時に様々な人権問題の解決や、地域との交流の輪にしていくための大きな役割を果たしてきており、昨今では、高齢者の問題や障害者の問題を取り入れるまでになった。

  過去3年間は、特に高齢者の問題を取り上げてきたが、今回は、障害者の問題を、初めて取り入れていこうということになった。

  部落問題を解決していくために、この30数年間、お金をかけて施設を作ってきたが、まだ まだ心のバリア〜階段の段差の解消等のハード面のバリアはお金で解決できるけど〜障害の ある人や高齢者、在日外国人、同和地区の人達に対する心のバリアの解消については、もう 少し時間がかかるのではないかと思っている。

  この分科会を、その心のバリアを取り除く一つの起爆剤にしたいと思っている。

  その取っ掛かりが、障害者の社会参加であり、とりわけ「障害のある人もない人も、共に地域で暮らしていこう」、これが私たちの今日のテーマ「だれもが安心して住み続けられるまちづくり」ということであリ、そういう立場から障害者問題を今日のテ−マに入れた。いわゆるノーマライゼーションを、今日の分科会の視点としてやりたい。

  とりわけ、障害者の社会参加として非常に脚光を浴びているグループホームという制度があるが、この分科会で賛同を得られれば、京都市と私たちが取り組んでいる「まちづくり部会」の中で、このグループホームを各地区の改良住宅の建て替えの中において、地区の中に取り入れていこうと考えている。

  これは、障害のある人にとっては、親なき後ということが大きな課題であるし、我々も障害者を受け入れることが、我々自身の心のバリアを取り払っていく第1歩だと思っていることだからである。

  触れ合ってみる、喋ってみる、それが問題を解決する第一歩になるであろう。遠くから理解し、支援をしても、本当にその人達を取り入れることは至難のことである。しかし、それを我々の運動の上に立ってやりきりたいと思っている。我々の中にも、まだまだ差別的なものもあるかもしれないが、お互い今日は、前を向いた形での積極的な討論をしていきい。

 

=各パネラーから、集会冊子に記載のレジュメに沿った報告が行われた。=

 

江口パネラーの報告についての宮崎コーディネーターによる補足説明

  グループホームというのは、障害のある人が4人1組になってある家を借りる、例えば改良住宅なり公営住宅なりを借りるという形もある。

保住パネラーの追加報告

  聴覚がないということは、情報が入らないということであり、健常者では当然のことであ るような日常生活の上でも様々な不利益を被ったり、また、コミュニケーションが困難とな ることから孤独になり、精神的にも様々な問題を抱えることが多い。

  こうした、聞こえないことからくる不便さ、その結果として社会から切り捨てられていく 人をどうケアし、守っていくか、というのを聴言センターでの仕事としている。

  具体的には、社会参加していけるような訓練をしたり、また、共同作業所を作って、お互 いが交流し合って作業するとともに、片方では、その作業所のある地域の人達と交流する場を作っていく。さらに新聞を作って、地域の皆さんに知っていただき、地域の方と交流の場を持つ、できれば、地域の人達に手話を覚えていただく。このような情報不足を補うような仕事に携わっている。

衣川パネラーの報告     

  写真を使用して、分かりやすく、「あかしやふれあいネットワーク」について、その前身 である「あかしやふれあいまつり」から現在までの活動を紹介された。

 

宮崎コーディネーター

  同和地区に作られてきた様々な施設や人、そういったものを、行政は行政、運動は運動、住民は住民という縦割りではなく、法の失効という事態を受けて、横に並べて、連帯してやっていこうというのがネットワークであるが、先に衣川事務局長が言ったように、まだ緒についたところで、これからが本当の活動である。

  そういった仕組みを、地区内外に関係のない共通した課題である高齢者について、安否確 認等により進めていく。しかし、もう一つ、障害者が社会参加していく、人間としてごく当たり前の生活をしていくためには、私達の作ってきた施設を障害者も利用できるようにすることが必要であり、そのことが、本当の福祉と人権の問題に繋がっていき、心のバリアを取り除いていく一つの活動だと思っている。

  同和対策事業で作ってきた施設は、色々な面で活用できる。一般地域には広げ難いが、まず、地区の中から障害者を受け入れることによって、様々な福祉と人権の問題を一緒にやっていきたい、これが今日のポイントなので、そのような視点で議論を発展させていきたい。

勝本パネラー

  障害者は、新しい環境に馴染みにくい、自分を表現する方法が分からない、こだわりがある等のことがあるため、辛抱強く接していくことが必要であり、優しく接していただきたい。

宮崎コーディネーター

  朱雀第4学区では、ネットワークを作り、障害者問題も視野に入れているが、現在は、まず高齢者問題に取り組んでいる。その取り組みの中で、綺麗な部分だけでなく否定的な面もあった。また、名簿については、民生委員さんが持っている等、既成のものもあり、それを利用すれば早いが、一からやっていくことが活動だということで、背伸びをし、我を張って自分達で作ることにした。

  最終的には、8割以上の高齢者について、自主的に名簿を作成することができたが名簿ができたら、今度は、どういう形でその高齢者の安否確認を行っていくのかが課題となる。 新年度の事業計画の中で作っていくが、名簿を出した家に、もう一度町内会長が行き、名前、生年月日、緊急連絡先の電話、行き付けの医師の名前を聞き、カードを作成して、それを電話にくくりつけておく。

  このように、ネットワークの取り組みは、名簿を作ることが目的ではなく、その名簿を活用して安否の確認ができる方法をとる、ということにある。それも、老人福祉員さんだけでは無理なので、回覧板を回覧する時に、少しでも高齢者に声を掛けるようにする。それも安否確認にもなるので、そのようなことを地域でできる支えの最低のこととしてやっていきたい。

  そうした中で、私達が次に抱えてくるのが障害者の問題である。

  先程、各地域にグループホームが根付いてきたと聞いた。私は、地区の中の改良住宅を使って障害者のグループホームをやっていこうと考えている一人だが、障害者を受け入れれば、その地区を抱える学区も、障害者を受け入れる学区となる。そうすれば、学区全体で受け入れる支えがなければならない。障害のある人を地域で受け入れるためには、学区の人達の、障害者に対する理解と地域に対する理解が必要になってくる。

  このため、ネットワークにとっても、障害者問題は、避けて通れないものとなる。

  どの様な形であれば、障害のある人を受け入れやすくなるか、ということについては、結局、時間はかかるかもしれないが、触れてみて、話してみて理解していく以外に方法はないと思われる。しかし、地域に、なかなかそれに適合するような組織がないため、何か考えがあれば、それを聞いていきたい。

森原(教育委員会養護育成課長)

  (市立の養護学校の状況、教育委員会の方針を報告し)社会的な自立に向けた、あるいは 地域での共生という点でのグループホームの良さがあるが、実際問題として、総論賛成、各 論反対ということもあるという現実もある、解決策としては、時間はかかるが、先ず触れ合 う回数を増やすことが、遠回りなようで、近い方法ではないかと思う。

宮崎コーディネーター

  グループホームを作るときは、できるだけ安く、大きい場所で、施設から近くで、という 3つの条件が必要であるが、同和地区の近くにある施設については、同和地区の改良住宅等 の施設を利用して連携すれば、全部ではなくてもその条件を満たして前進することができる し、是非、そうなって欲しい。

  条件的な問題については、運動の中でそれらを取り組んでいくならば、ハードルは一つ一つ外していくことができると思っている。

安西(住宅管理課担当課長)

  一般の公営住宅では良いが改良住宅では駄目という「法律的な問題」を初め「地域の受け入れの問題」「役所の中の連携」など、5点ほどの問題がある。なお、これらを整理すれば、中期的には可能かもしれないが、市民公募の方が先決となることから、今すぐとはならない。

宮崎コーディネーター

  地域の受け入れの問題があるが、これは、我々の運動がやらなければならない課題であり、そうでなかったら、福祉と人権ということをキーワードとしていく資格はない。心のバリアを取り払うためにも、我々は障害のある子供たちを受け入れていく、そしてお年寄りを大切にしていくことが、自分達が大切にしてもらえるということを、世代を越えて伝えていくというシステムづくりを一歩一歩着実にやっていきたい。ここに出てくるのが行政の制度の壁、施策の壁であるが、これからの人達とスクラムを組んで、取っ払っていきたい。

 

市民(福祉の勉強をしている社会人の学生)

  同和地区における学区のネットワークと一般地区における保健・医療・福祉のネットワークとの違いは? 特に、地区の色々な財産は「あかしやネットワーク」に生かされてきているのか? また、隣保館も変わっていくが、これがその取り組みに関わっていくのか? また、住民の立場で活動することの限界は?

宮崎コーディネーター

  ネットワークについて、同和地区では、行政、運動体、住民の3者がこれまで培ってきたものがある。一般地区については、市の保健衛生推進室の波部部長にお話し願いたい。

波部(保健衛生推進室部長)

  もともと、全市に220の小学校区があるので、基本的にはそこで保健・医療・福祉のネットワークの取り組みを行っていきたい。目的は、高齢社会に於いて、とりわけ独居老人とか 虚弱老人等を地域で支えるシステムを作っていこういうものである。社会的なシステムとし ては介護保険等もあるが、その隙間にいる人を地域で支えるシステムが必要であると考えた。 もちろん京都市だけでできるものではなく、地元の市民・区民の力が必要。どこからやるの かといったら、いわゆる同和地区には、コミュニティセンターや学習センター等社会的資本 があるので、それを活用することができ、やりやすいことから、同和地区を含む学区でモデ ル的にやっていこうとしてる。

宮崎コーディネーター

  コミュニティセンターについては、17年3月末をもって、市の職員の派遣はなくなる。それなら施設も閉鎖するのか、その社会資源を無駄にするのはもったいないので、このネットワークができたならば、これを受け継いでいきたい。議論をしなければならないが、もし可能なら、公的にできないものを団体でやっていきたい。

  相談業務やコーディネート業務を、ネットワークを土台にして自分達でやっていきたいと思っている。もちろん、専門性がないと福祉・医療はできないので、そこに、専門性のある人を、どのように協力体制の中に組み込んでいくかも課題である。

  また、解放同盟という立場からいうと、少なくとも11の地区では作ることに頑張っていき たいと思っている。

  地区にある施設を地区内外の人達に使っていただくことが、部落問題を解決し、人権問題を考える場になると考えている。

  同和地区を含まない一般の地域では、お年寄りの介護とか相談、安否確認ということになるが、同和地区では、人権のまちにしていきたいというビジョンを持っている。

  また、それが同和地区を含む学区の姿だと思っている。

市民

  あと2年でコミュニティセンタ−が無くなるが、同和地区の人達は、無くなった分をカバーするという意味で、それ以上に積極的に取り組んでいただけるのか? それも役職者、リーダーと本当の一般の人との差が大きいのではないか? リーダーの人は、その辺りのことをどのように考えているのか?

宮崎コーディネーター

  自治会活動より解放運動がすべてだという、従来の運動が背負ってきた、ある意味のマイナス面、歪みが出ているということも、運動の指導者としてよく理解をしている。このため、運動はもっと柔軟に、学区の様々な取り組みにタイアップしていくことによって人権問題を考えていこうと、スタンスを切り換えている状況であるが、地域の人にも様々な状況はあり、しんどいところもある。

  大きなまとめはなかなか難しいので、小さなことからまとめていきたい。

  障害のある方は、その障害の特性が異なるので、同じような対応はできないけど、時間をかけて、触れてみて、話してみて、その理解の上に立って、その人達と共生をしていく地域づくりが必要だと感じた。

  今後、大小色々な問題について、ネットワークの中で勉強しながら、ワークショップをし ながら、一つ一つをクリアしていきたい。また、来年は、他の地区から、このような取り組 みが発表できるように努力していきたいと思っている。

  とりとめのないまとめになったが、私どもも努力し、皆にも頑張っていただく中で、障害 者問題を通じてこれからの人権問題を考えていきたい。特に障害者の社会問題は、同和地区にとってもクローズアップされる重要な問題だということを強調して、今日の分科会を終わっていきたい。

 

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