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第43回人権交流京都市研究集会

  分科会

人権のまちづくり

「福祉で人権のまちづくりをめざして」

                会場 大谷大学2号館2301教室  

 シンポジウム

        「京都市内のストック活用計画と今後のまちづくり」

     コーディネーター   宮崎 茂(部落解放同盟京都市協議会議長)

 

@NPO法人YTまちづくりの会の取組みについて 

            村上 光幸(部落解放同盟田中支部書記長)

・組織の発足まで

・具体的な活動

・今度の課題と方向

 

A大阪府箕面市北芝地区の取組みについて   

丸岡 康一(部落解放同盟大阪府連合会北芝支部支部長代行)

・組織の発足まで

・具体的な活動

・今度の課題と方向

 

B京都市市営住宅ストック総合活用計画について

池辺 宏行(都市計画局住宅室すまいまちづくり課長)

 

 

宮崎:分科会の進め方ですが、まず最初に養正まちづくり協議会からの報告を頂きます。その後、大阪の北芝のまちづくり協議会の報告をいただきます。続いて、京都市から、昨年2月に「京都市住宅ストック活用計画」いわゆる市営住宅、改良住宅の老朽化にともない、建て替えではなく集約をして、新たに生まれる土地の活用というのがあります。とりわけ、京都市内の各地区は、いわゆる市街地に密集していまして、位置的にいい条件があるのでこの「ストック活用計画」をいかに活用してこれからの同和地区を再生していくか、こういう方向を、この報告を受けてわたし達はこれから考えていきたいと思います。そういう狙いが一つはあります。もう一つは、京都市の同和地区の高齢化率はもうあと10年もたたないうちに、50%以上になります。超超高齢社会を地区の中で向えるわけです。だから従来のように古くなったから建替えてもう1回住む、これだけではとてもまにあわない。だから空き地を活用した福祉施設を導入していこうと。京都市協の仲間は、昨年5月から毎月勉強会をやっておりまして、京都市出前トークを活用して、障害福祉、児童福祉、高齢福祉等のテーマで学習会を行い、この福祉3分野をその地域ごとの実情に応じてやっていこう。一つ例を出しますと、吉祥院はストック活用計画ないんです。というのは、改良住宅がないから。ただ、吉祥院の今の状況は、教育と文化というのは盛んで、吉祥院小学校はマンモス校になって、教室が足りないという状態なんです。そこで、あそこでお年寄りの話をしても、なかなか寄ってくれないんやけど、子どもの話をするとけっこう、わんさか来てくれる。東三条や、私どもの中京の方では、1学年1学級と子どもは少ない。各々地域性があるんですが、それに応じてやっていこうということです。

それでは、まず最初に養正まちづくり協議会の報告を、部落解放同盟田中支部書記長の村上光幸さんにお願いします。

 

 

養正田中まちづくりの会の取り組み

 

                        <報告者 村上 光幸>

1.住環境部会の経過

 

養正田中地区は決して先駆的なまちづくりの取り組みをしているわけではありませんが、次の世代に何とかつなげていこうということで、まちづくりの歩道整備事業がありました。それを契機に仲間を募り、会則を定め、役員を選出しました。明確な展望もなく遅きに失した感は否めませんが、町内会の住民をつなぐものがない中でのまちづくりの活動は、一人一人地道に働きかけていく他ありませんでした。しかし、こうした動きが下地になって、養正まちづくりの会、現在は、NPO法人として、「YT」養正・田中の一文字ずつをとって「YTまちづくりの会」の結成になっていきます。それでは夢のあるまちの実現に向けて、力を結集して取り組んだ、養正まちづくりの会の報告をさせていただきます。

 まず、地区の紹介をしていきたいと思います。田中地区はかつて田中村と呼ばれまして、京都府愛宕郡に存在した村でした。1889年町村制によって1918年に京都市上京区に編入合併をして消滅したと言われています。その当時の主な産業は1889年村内を東西に貫く琵琶湖疎水の分水が開拓されたということで農村として、また、蔬菜栽培や乳牛飼育などの牧場経営が盛んだったということです。しかし1907年にはカネボウ紡績の京都工場の支店が開業して京友禅の染色工場が次々と建設されて、工業地帯へと変化したと言われています。

 また、田中地区は京都市の東北部を大きく占める左京区の南西部、鴨川と高野川のちょうど合流点の東北に位置しています。京阪電鉄および叡山電鉄出町駅に近接し、交通の利便性が高い地区でもあります。また、高野川に近い一部が風致地区に、それ以外が山並み背景美観地区に指定されています。周辺は中小企業や工場、出町柳駅近くの商業施設が多く立地しており西は高野川を挟んで、世界文化遺産の下鴨神社の糺すの杜が広がるなど景観や自然環境に恵まれています。また、東には京都大学を中心とする学生の街が活況を呈していると言う状況です。

 また、教育についても歴史がありまして、上田静市先生によってつくられた、田中親友夜学校で差別と貧困に苦しむ部落の子どもたちに、教育の発展に力を尽くされました。今も地域のあちこちに親友夜学校のですね碑があります。

 そのような中で部落解放同盟田中支部では京都市行政とのパートナーシップのもとで、住環境部会を2005年から毎月定期開催をして、田中地区の全体のまちづくりに大きな役割を果たしてきました。新棟建て替えの議論を進めていく中で、改良住宅3棟の除却工事の協議を積極的に進めてきましたが、地区にはまちづくり組織が組織されていないと言うことで、基本的な予算が付けられないと言うことがありました。そこで、支部の中でまちづくり組織の建設に向けて慎重に協議をし、地区の将来展望を見据え、地区住民の立場に立って町内が一つになれるための取り組みをすすめてきました。さらには、空き家の活用や一般公募についてもこの部会の中で、議論を積み重ねてきました。もうすでに2004年から福祉施策として高齢者や障害のある方を対象に単身部屋の公募を開始しましたが、部落における経済的な2極化の問題が顕著にあらわれており、母子・父子世帯や不安定就労世帯、一度地区を出ながらも何らかの理由で戻ってくるリターン流入など、生活する上で何らかの困難を抱え対策・援助を必要とする世帯が増えていました。改良住宅の空き家活用については、交流と共生のまちづくりと地域コミュニティの再生・活性化をすすめ、あわせてストックとしての有効活用をはかるために安心安全に暮らせるまちづくりのために、○○を対象とした一般公募を2007年の12月に実施しています。

 地域では住民の高齢化がすすみ、共に支えあうコミュニティの再生が急務となっており、不法投棄や路上駐車問題など住環境にともなう課題が山積していることを確認してきました。まちの発展を願う者として、思想や信条、立場の違いを超えて志を同じくする方々と共にまちづくりについての意見を交換しながら、自分たちのまちのためにできることを一つずつ取り組んでいきたいと考え、養正・田中まちづくりの会を設立しました。一人でも多くの住民の参加を得て、まちの将来構想についてみんなの意見や思いを形にしていく学習会の開催や、まちづくりの基礎となる自治組織の結成に向けた取り組みをすすめることとなりました。

 田中新道、東西の歩道の整備事業を契機に住民参加型のワークショップ形式にしながら地区住民のニーズに反映される歩道整備事業がすすむことによって、住民のまちづくりに対する気運が高まっていきます。地区内の商店街に会則が作られ、また、駐車場委員会の代表者、各住棟の代表者、解放同盟田中支部も積極的にまちづくりワークショップに参加して、地区の将来展望を見据え、学習会を積み重ねてきました。

 これが学習会の様子です。まず、まちづくり活動のスタートとして、20071215日から20日にかけて、田中地区の住民全戸を対象としたアンケートによる実態調査を行ってきました。この調査は全国土地再生モデル調査というもので、国が募集していた全国土地再生モデルに京都市の推薦を受け応募、調査をきっかけとした更なる広がりが期待されているものです。地域の活性化や生まれ変わり、そういったものを支援する仕組みとして設けられているものであります。国の財政支援が行われており、全国500以上の応募の中で、田中まちづくりの会が選ばれました。実施体制として、まちづくりの会、工芸繊維大学、NPOと協力をして取り組みをすすめてきました。

 現在の入居状況は改良住宅が11棟数に対して、管理個数は657戸あります。入庫個数は496戸です。年齢階層別人口構成比率ですが、15歳〜64歳、65歳を分けています。2011年の比率が15歳〜64歳については、49.9%。65歳以上は39.1%です。これは、全市の国勢調査です。15歳〜64歳については65.1%、65歳以上については23%となっています。これでわかるように、若年層の人口比率が、養正田中には少なく、逆に高齢者の人口比率が非常に高いということがわかります。

 それから、これは、住民アンケート調査の結果ですが、配布部数が468に対して回収部数が223,回答率は47.6%という結果になりました。総合的な調査で、ずっと住み続けたいとお答えいただいた方は全体の70%にのぼりました。ただし、高齢世帯にその割合が多く、必ずしも全世代にわたる意向ではないこともわかってきました。

 福祉施設の満足度は40%台で、必ずしも満足していない傾向。また、すぐに取り組んでもらいたいこととして、安否確認など助け合いのまちの回答が非常に多くありました。住環境は、身近な話題が多く、中でも不法投棄のないきれいなまちへの要望が突出しており、切実な問題と考えられます。安全賑わいに関することでは、災害に強い安全なまちと、歩きやすいまちとが多数指摘されました。どちらも身近な問題と認識されているようです。ただし、これも若い層では楽しいまちが多くなるなど、少しずつ傾向が違うことがわかりました。特に多かった意見は、新住棟の建設、それから、人に優しい人権のまち、不法投棄、家賃、ペットの糞やモラル、商店街の活性化、浴場サービス、空き家の活用、駐車場問題や、来客用の駐車場の設置、またエレベータ内の排煙など具体的な意見が出されていました。そこで、このアンケート結果から、何か自分たちでできることから始めようと、町内からその周辺の清掃活動を始めました。町内では、不法投棄や放置車両、放置自転車、また、たばこの吸い殻、ペットの糞、お菓子の袋が町内に散乱している現状がありました。

住民のモラルと、自治意識を高めるために毎月第2土曜日に清掃活動を定例化し、取り組むことと成りました。地域住民が主体的にまちの美化に取り組むことで、地域の子どもたちも少しずつではありますが、参加するようになってきました。

 この継続した清掃活動によって、きれいな環境になってきました。2008年の1月からは使用済みの天ぷら油と古紙回収を行うようになりました。20106月には地域ゴミ減量推進会議の活動を開始しながら、地域住民、周辺住民とのコミュニケーションを深めています。さらに、会がまちの美化推進住民協定申請を行って、地域住民が主体的にまちの美化をはかることで、自治意識を高める取り組みを行っています。これが、その認定書です。

 次に、地区の中で交通事故が多発していると言うことから、事故を予防するために下鴨警察署、左京土木事務所、養正保育所、乳児保育所と協議をして、子どもの飛び出し人形を設置しました。違法駐輪が多く、プランターを設置していますが、学生がここに来て自転車をとめて通学するということがありました。駐車場を利用される方に、通路が使えず、その問題を解決するために、プランターを設置して、歩道の環境を良くしています。観光案内看板の設置ということで、地域から心温まる寄付をいただいて、田中新道の交差点に取り付けました。この歩道整備事業をすることによって、以前よりも人の往来が多くなったと言うことで、目につくところに看板をおいて、少しでもまちを知ってもらおう、たくさん来てもらおうということで、工夫をしました。これは京都新聞の記事になるほど、大きな反響があったということです。

 また、AEDの救急救命講習の取り組み、また、茶話会を行政に力になってもらい独居老人を教えてもらい、会の世話役が11件周り、茶話会をしました。このことで、高齢者の安否確認が行えると言うことで、定期的ということではありませんが、年に何回か機会を設けています。

2.共生社会をめざして

京都市行政は、これまで自ら「同和行政」の牽引役であり、常に全国でもトップランナーとして施策を推進してきた事を自負してきました。特措法制定の相当以前からもその施策は行われており、1919年には東三条に既に「隣保館」の前身である託児所と家事見習い所が設置され、1936年に隣保館としての運営が開始された。戦前と戦後を挟む大きな時代を経ながら、地域住民にとって生活の拠り所として機能してきました。2002年特措法が失効した後もコミュニティセンターと名称を変え、「人権文化の拠点」と位置づけられていましたが、この20114月から歴史的大転換を向かえることとなりました。20109月に「京都市市民活動総合センター」のブランチとしての「いきいき市民活動センター」への転用を定めた条例が可決され、11月から指定管理者の募集が行われた。市内13カ所に対し、まちづくりの会もこの公募をきっかけに、特定非営利活動法人「Y・Tまちづくりの会」設立申請し、挑みましたが過去の事業実績がないということで残念ながら指定管理を受けることが出来ませんでした。

 既に選定された民間の指定管理者による運営が行われています。この度選定された管理者には、「市民活動活性化事業」が義務づけられており、地域や他団体との連携についても示唆されています。まちづくりの会も、そうした事業にも積極的に関わりながら、地域の世話役活動という組織として原点に立ち返る必要性があります。地区住民の切実な訴えを一つ一つ丁寧にすくい取りその要望を顕著化していくことで、部落解放運動が頼りになる存在として、また行政に対し、市民社会に対し共に、問題解決を呼びかけになる事が、差別撤廃への具体的な糸口となっていくと思います。

 今後は、直接施設運営に携わることがなくても、積極的な活用や、施設運営についての要望を通し、主体的、創造的なまちづくり運動を周辺住民との協同により推進していかなければなりません。

 

3.今後の課題

 現在、町内の改良住宅については、築40年以上が経過し、老朽化、空き屋率の上昇、高齢化率の問題があり、京都市住宅室は今年2月に「京都市市営住宅ストック総合活用計画」を公表しました。これは新規の建替えが困難な状況で、耐震性に問題のある古い住宅から比較的新しい住宅へと住民を住み替えさせ、集約化を行っていく計画です。空き住居や、敷地の活用方法については、今後地域住民との協議が必要とされ、コミュニティの活性化が目指されていることから、新たな「まちづくり」の要となっていくと予想されます。今後の部落をどのようなまちにするのか、しっかりとビジョンを持ちながら、地域住民との協議の場を組織しなければならないと思います。

 田中地区が福祉と人権の砦となり、一般施策の活用を通じて「福祉・人権のまちづくり」の先駆者として、積極的な参画をしてかなければなりません。

 

宮崎:どうもありがとうございました。田中という大変難しい地域でありますが、非常に早い段階から取り組みを進めてきて、今日、始めてこういう場で田中のまちづくりの報告ができるきっかけがありましたので、後で、もう少し聞きたいことがあれば、時間を設けますのでお願いします。続きまして、大阪の箕面市で今活躍されています、北芝の丸岡さんから報告を受けていきます。よろしくお願いします。

 

丸岡:どうもみなさん、はじめまして。丸岡といいます。箕面市ってみなさんご存じだと思うんですね。滝はあまり有名ではないんですが、箕面の猿で有名な、芸能人も非常に多いという地域なんですが、そういう話をしていると25分があっという間に過ぎてしまうので、本題に入りたいと思います。いつも京都にこさせてもらったら、だいたい宮崎さんに90分くれと言うんですよ。で、90分やるやるって言われて、今日来てみたら25分だというので、あと50分をどう減らそうかと思っています。その分走ってしゃべらせてもらいます。先ほどの田中支部の書記長の話も、非常に、僕なりに参考になっておりますので、地元に帰ってもやりたいなという思いもあるわけです。まずうちの取り組みの基本だけちょっと明るい間に話をさせていただきたいのですが、ウチの取り組みの基本は、部落解放運動を楽しもうということで運動を展開しているんです。というのは、やっぱり何か、支部の皆さんも、もともと僕もそうやったんやけど、部落解放運動そのものがなんかしんどいものやというイメージがある。もっと言えば、今の大阪の箕面の若いメンバーに部落のことを聞く、また学校の先生もそうなんです。この間学校の先生や箕面市の職員の新人の人とよく話をするんです。素直に言ってくれます。部落に対する印象というのはやっぱりね、この言葉始めて聞いてびっくりしたんですけど、部落といったらかわいそうな所というのが出たんですよ。それが学校の先生から出てね。かわいそうなところ、もっといったら暗い所、つらい所、しんどい所、つらい、くらい、しんどいという三拍子があったのは知ってたんですが、かわいそうな所いうのも出て、びっくりしたんですね。素直に話をしましょうと言って話をしてますので、そのことに対しては否定はしませんけども、だから、僕らの運動というのは部落解放運動をやっぱり、自分自身を出す運動。もっと言ったら、部落解放運動を楽しみながらやらんことには、ホンマにやってる人間がしんどなるんやと。しかし、誤解しないでくださいね。部落差別に対する闘いは当然やるんです。部落解放運動を楽しみながら、結果としての部落解放を求めよう。そのことを、こだわろう、ということでやっています。今北芝の運動で非常に大事にしているのは、部落の中にこそ部落差別がある。何か言うたら閉鎖されてきたがゆえの閉鎖的傾向が部落の人の中にあるんです。だから、部落の中ではがーっと喋るんですけど、ちょっと部落以外の人が入ってきたら、借りてきた猫のようになってしまう。内弁慶の人が多い。今までの差別という外圧ががーっとあったから、やっぱり差別が怖いという厳しいのを知ってるから、自分の殻に閉じこもる。心を閉ざしてしまっている。そこに部落解放の展望がある。そういった心を解き放つというのが運動の一つ。二つ目は、今、大阪でよく言われています。部落を避ける。京都でもあるかもしれないけど、忌避する。自分が部落民と間違えられたらあかん、という部落を忌避すると言うことは、やっぱり部落の人間と間違えられたら自分が損をする。あるいは自分の子どもが損をする、孫が損をするという、残念ながら日本の社会風土、風習、あるいは習慣であるとか、そういうことが部落と言うことのまちがった意識に入り込んで部落を避けるということになってしまう。そういうのも、一つ目の部落差別の本質である部落の中にあるというね。閉鎖されてきたが故の閉鎖的傾向を解き放つという一つは、部落の中の心にあるわけですね。忌避意識。もちろん日本全体の風習やら習慣という問題は大きい問題ですが置いておきながら、大事なのは、やっぱり部落以外の人の心も解き放していくということ。というは、両方の側面から考えれば、どっちも部落の中の心、周辺の心、やっぱりね、部落の周辺に行くと差別がきついんですよ。この間非常に結婚差別事件が箕面でも多かったんです。それは周辺に多かったんですよ。ということはやっぱり昔ながらに北芝という部落、差別する存在というふうに見てた周辺というは非常にきついんですね。ですから自分たちの部落解放運動というのはまちづくりの中にこそあると思って取り組みをしているんです。もちろん、大阪府下全体で、あるいは東京に行って、中央に行って、差別だ、徹底糾弾という闘いは当然大事ながら、しかしながら自分たちの部落解放運動は、先ほどの田中支部の書記長さんが言ったように、自分たちの地域をいかに豊かにするかと言うことが非常に大事な部落解放運動の根本だと思っているわけです。ですから、部落差別をなくしていくために重要な柱は、自分たちの足下にある。部落の人たち、北芝の地域の人たちの心を解き放していく。そして周辺との豊かな関係、周辺の部落差別、思いというものを解き放していく、そういうことが非常に大事なんだと思って、自分たちはまちづくりの取り組みを展開しているということです。そういった前提を持ちながらしゃべらせていただきたいと思っています。

 自分たちのテーマはやっぱり、「であい・つながり・げんきになろう“きょうと”」と書いてありますけど、やっぱり「であい・つながり・げんきになろう“かやの”」ということで自分たちは自分たちの北芝という部落さえよかったらいいということではなくて、部落発信で、周辺のまちづくりをすることによって、部落も周辺も共に豊かになっていくということが結果として部落がよくなっていくんだと思っています。それは北芝さえよかったらいい、部落さえよくなったらいいということで行ったら、やっぱりムラの勝手な思いでということになる。そうではなくて、部落発信で周辺と豊かなまち。先ほど田中の書記長が言ったように、自分たちが、本当に安心して生活できる空間づくりを部落と周辺と一緒に共同で取り組むことによって、北芝と一緒に取り組むことによって、この萱野が本当に住みやすくなったなと。それは北芝と共同で取り組むことによって自分たちが、ここで生まれ、育ち、死んでいく、そういった自分たちが誇れるまちになったな、というこが、自分たちが年寄りから聞いていた、先人から聞いていた、北芝という所を自分たちが間違って見ているんだなということが自然体としてわかっていくような取り組みをする。このことに重きを置いています。大事なことは、地方分権の社会やとかいろんな話があったんですが、ウチはコミュニティ分権。コミュニティのことは、コミュニティが責任を持つんだ、そういった時代を自分たちで創っていこうやないかと。そういうことでまちづくりの取り組みの紹介をさせていただきたいと思います。

 そういう視点から部落解放運動の、方向性、視点を変えていきまして、わたし達は、「北芝まちづくり協議会お宝発掘隊」というものを発足して、トップダウンということの部落解放運動ということではなくて、先ほどの書記長の話にありましたように、自分たちも2001年からワークショップをやりました。これは何かというと、つぶやき拾い。自分がしたいこと、できること、あるいはやってほしいこと、かなえてもらいたいこととかを、いろんな形で出してもらう。それを、支部がやるんではなくて、自分たち自身が実現するためにどうしていったらいいんだろう、というような取り組みをしてきたんです。一つには、やっぱりウチの北芝も、コンクリート、アスファルトと金網のジャングルになってきた。だから、町並みを花一杯にしていきたいという声が上がってきました。そうしたら、そのこだわりを、みなさん、一辺地域の町並みを変えていくということをやりませんか、ということで、花いっぱいのワークショップが次にスタートした。やったらやりっぱなし、ということではなくて、それを実現していくためにどういうふうにやっていったらいいんや、ということで、やりたい人たちで集まって、もう一つのワークショップをして町並みを変えてきたということがあります。合わせて、地域の達人発掘ということで、地域ビジネスを自分たちで創造していこうじゃないかということで、そういうことも始めました。まちづくりをやっていくためには、自立的で持続可能なまちづくりというのが非常に大事だということでやりました。これは、北芝のまちの人間だけじゃなくて、萱野で働く人、萱野で住む人、そういう人たちが、一同に集まってこのワークショップをやっていったということです。その中で出たのが、マルチお総菜システムとか、萱野テクシー、ネットワーク糸電話。こういうものを地域の発信でやりたい。これはね、後から触れますが、萱野テクシ−っていうと何かと言いますと、やっぱり、ちょっと自分たちが病院いかれへん、あるいわ、病院行かれへんけど薬取ってきてほしい、というような高齢者の声が色々あったんですね。だから、こういった形ですぐに薬を取りに行く、あるいは病院まで送り向える。そういったものができないかということが、話として出てきたんですね。で、それを具体的にやっていこうと、2003年に、夢工房のとりくみというのをやりました。これは、より今までのワークショップをもっと周辺にも呼びかけて、そして、行政も共同で、あるいは企業も含めてですね、周辺の企業も含めて、萱野で働いている人、そして萱野で住んでいる人、それぞれの自分たちのやりたいこと、やってみたいこと、実現可能かは別にして、自分たちの思いをどんどん発表する。そしてそのことが、地域資源になっていけばいいな。あるいはそのことが、人材の発掘になればいいな。いうようなことで、いろんな形で多様な主体が集まって、自分たちの夢を実現するような事業を、2003年に取り組んだ。ですから、いろんな団体、特に自治会も含めて取り組んできました。「であい・つながり・げんき」この3つをテーマとした取り組みをしてきたわけです。3つのテーマ、5つの工房という取り組みをしてきました。1つはイベント。ここで、自分たちが大事にしたのは、部落の人たちの心を解き放していく。部落の人の心を解き放つためには、自分たちが主体となるような取り組みをやり、ということで、そしたら、自分たちは読み書きができない、非識字なんだけど、自分たちが食べてきた、あるいは北芝の食というものをテーマにして、本を作りたい、という読み書き教室の話があったので、じゃあ、いっぺん、本つくろうやないかということで、この本を作り、完成イベントとして、夢工房の中で、まず第1弾、主役になる、スターになるという取り組みをした。これはもちろん、その読み書きの人たちが主体となって、自分たちの発表会。同じく、料理をつくる、そこに、子どもたちの太鼓集団も、支部も、周りも地域も応援する、というようなイベントをやってきました。で、地蔵本祭り、これも、昔懐かしの映画祭、地区の高齢者の昔の映画がみたいという、つぶやきの声が出てきた中から自分たちを大事にして、やりました。

 一番最初2001年から始まった取り組みで、情報発信糸電話というのがありました。それを自分たちが2001年に、NPO法人の暮らしづくりネットワーク北芝というNPOを立ち上げました。で、そこがホームページを立ち上げました。それから、地域通貨の取り組みも展開しました。これもあとで話しますので、さーっと流します。でコミュニティビレッジとして神戸のコンテナ、海上コンテナこれを買いに行きまして、この海上コンテナを地域のいろんな形の、自分たちがコミュニティビジネスを展開するモデル事業をできるところを自分たちで作ろうということで、コンテナを2つ買いまして、今は、何をしているかというと、独居高齢者が非常に多いんですが、その独居高齢者がいつでも楽しめるような、あるいは、これるように、毎週、「週間金土日」というのをやっています。昨日もやりました。いわゆる、北芝の居酒屋です。で、週2回、独居の高齢者も含めて、そこには若い人も一緒になって、この居酒屋でご飯を食べる。だから、ナイトデイみたいな役割も、ここでは果たしているということになります。合わせて、こっち側にありますけど、1つはラクダ屋といって子どもたちが集まれる昔懐かしの駄菓子屋ですね、それが経営されています。それから、これは、タイの古式マッサージを自分たちが営業できるやろかという、ウチの地域の人が、自分がタイの古式マッサージを覚えたので、1度ビジネスになるかお試しでやりたい、ということで、ここは無償で場所を提供して、それがビジネス展開としてできるかどうか、モデル事業としてやったり、というふうにやってきました。そのかわり30分千円でやってや、とか。で、ここ喫茶店なんですが、この喫茶店につきましては、ワークショップをしてどう使おうかとやりました。すると周辺の人たちも集まってもらって、ワークショップやって、そこで、21歳の人が、自分は無農薬でここを喫茶店としてやりたいという話がありまして、2004年から、今年で7年が経ったんですが、今もやっている。で、ここの場所を有効活用しようということで、喫茶店だけではなく地域の人たちが自分のモデル事業としてできるかどうか、ということで、この場所を貸すということで、このニコが休みの、土曜日、日曜日、月曜日というものをいろんな形で、居酒屋をやったり、パン屋さんをやったり、例えば、子どもを持つ親が、自分たちの母カフェということで使ったり、ということで、自分たちの次のビジネス展開、あるいは、コミュニティに役立つような事業としてお試しでやる空間として、ここを今も有効に活用しています。「母カフェ」ということでやって、周辺の人たちが、あの人がやってるからいこうか、ということで賑わうと言う形になってるんですね。

 ウチの地域は、安心居住のプロジェクトとして、らいとぴあ21を指定管理受けまして、事業展開してるんですが、ウチはいろんな形で、「まかさんかい」という高齢者の事業展開をやったり、あるいは街角デイサービスをやったり、とかの事業展開を積極的に行っています。で、合わせて、地域通貨を7年間やってきました。で、その後地域通貨に変わる事業として、地域見守り券というものを、支部で発行しています。これは何かといいましたら、どこか、箕面市内どこでも、この見守り券1枚があれば、憩いの家に電話する、あるいはらいとぴあに電話して、高齢者1人に対してワンストップサービスで、どちらに電話がかかっても、萱野テクシ−という自動車で送迎するとか、薬を取りに行くとかというサービスをしています。合わせて、高齢者世帯がおたすけ隊というのをウチは作っていますので、このおたすけ隊が買い物代行、ちょっと家の掃除をしてほしいといったら掃除をしたり、ということでのサービス提供をしているということになっています。ですから、高齢者に対してワンストップで、老人いこいの家からおたすけ隊に連絡が入り、おたすけ隊からこの高齢者にサービス提供をやる。それは、おふくろの味の配食サービスを提供するとかをやっています。

 あと、教育支援をしまして、先ほどの喫茶店を使いまして、子育てサポート、子育て応援カフェというのを保護者がやっています。ですから、ここの喫茶店を有効活用してもらって、特に子どもたちに対するおやつ作りであるとか、食の提供であるとかをここでやっている。代表的なのがこれです。キッズカフェというのをやってまして、これは、小学校4年生、5年生の子どもたちが、自分たちで喫茶店を経営をしたいということで、子どもたちが自分で営業する。そしてお客さんも子どもたち、というのをやりました。これは3年前にやったんですが、現在は萱野小学校の子どもたちが、授業として年間2回、ここを活用してやっているということになっています。

 あと、まちづくりプロジェクトですが、やはり、地域と北芝と周辺と豊かな関係を作る。人と人との豊かな関係づくりにこそ部落解放があるんだということで自分たちは、まちづくりのプロジェクトの展開をしているということになっています。今、地域ではまちづくりプロジェクトとしてのイベントに取り組んでいる。あるいは、安心居住プロジェクトとして、老人いこいの家を中心として街角デイサービス、今度はボランティアグループの「まかさんかい」という高齢者の事業団をつくりました。ここに入って、地域見守り券なりを活用して、買い物代行であるとか、御用聞きにいっているということです。この御用聞きというのは非常に大事で、単純に御用聞きだけをするんだったら意味もなくて、見守り活動も合わせてやっているということです。で、合わせて地域教育支援プロジェクトとしては、先ほど言ったように、子どもたちの喫茶店を応援したり、また、寺子屋ということで、学習を支援するということもやっている。問題はコミュニティビジネス。地域にとっての大事な仕事づくりというものを、地域の人がこだわって、自分たちがやりたいということを全面的に支援するということを考えています。その一つが、今現在朝市も行っておりますし、なおかつ、コミュニティビジネスの中で、指定管理ということでもともとの隣保館を指定管理受けてきたということになっていってます。重要なことですが、やはり、これからの地域コミュニティを豊かにするというのは何かと言いますと、ソーシャルインクルージョン、もっと言えば、孤立や孤独をなくしていく、そういったコミュニティを高めていく、そういった、中心センターが隣保館であるということのイメージで書いていますし、なおかつ、スローライフ。自分らしい生活空間をつくる、これは、北芝という部落だけじゃつくれない。それは、周辺と共同した取り組みになっていかなければならないと思っています。合わせて、行政がそれをいかに支援するかということで、住民組織と行政との関係がしっかりやっていなかったら結局、行政は住民組織におんぶにだっこ、はい、あんたらまかせまっさ、ということでいいのかどうか、市民と行政のそれぞれの、市民組織、行政組織、それぞれの役割を整理しながら、自分たちは行政との共同スタイル、あるいは、パートナーとしての組織体をめざしていく、まちづくりをやっていく、そのことが、結果としての部落解放を求めていく、という取り組みを展開しています。ただ、やっぱり25分で宮崎さんしゃべれと言ったけど、なかなか難しいので、あとは補足説明であとから、説明させていただいて、まず、第1弾は、ばくっとした形での取り組みを紹介させていただきました。ありがとうございました。

 

宮崎:ありがとうございます。あとからたっぷり時間をいただくんですが、3つめのテーマとして、都市計画局より池部課長方から昨年2月に作成されましたストック活用計画について説明をいただきたいと思います。

 

池部:あらためまして、京都市住宅局すまいまちづくり課長の池部です。京都市住宅ストック計画について説明させていただきます。

 その計画の位置づけですとか、計画をつくった背景として市営住宅の状況でありますとか、その計画内容等について説明させていただきたいと思います。まず、計画の位置づけですが、本ストック計画の背景といたしまして京都市の都市経営の基本と成る基本計画、それと、その分野計画としての住宅マスタープランがあります。ストック計画はその住宅マスタープランの下位計画としまして、言うなればマスタープランの実施計画という形で、具体的な取組を展開しようとしているものです。京都市基本計画ですが、10年ごとに作成されております。2212月に策定されました新たな基本計画、「はばたけ未来へみやこプラン」は今後10年間22年から32年までの京都の未来像と主要政策を示す、都市経営の基本となる計画です。その重点政策の一つに低炭素・循環型まちづくり戦略を掲げておりまして、ストックを有効活用したまちづくりの推進が位置づけられておりまして、また、その分野別計画、政策におきまして、住宅におきましては住宅セーフティネットの昨日の充実を図り、適切な更新と維持管理を推進することや、また中規模・大規模団地のマネージメントとしてのコミュニティの活性化を掲げております。

 その住宅マスタープランですが、この中でも同様にセーフティネットとマネージメントを掲げております。市営住宅施策の方向性として、公営住宅の管理戸数は現状程度に留めることとしておりまして、住宅セーフティネットの中核として計画的な更新や改善を実施することとしています。また、コミュニティに配慮した団地づくりや内外とのコミュニティーの活性化に資する施設の充実に努めるとしています。

 阪神淡路大震災でありますとか、昨年の東日本大震災では建築物の耐震改修をすすめる、耐震改修促進計画、あるいは平成21年に「同和行政終結後の行政の在り方総点検委員会」の中での改良住宅のあり方、それから京都市環境モデル都市行動計画における建て替えの抑制方針でありますとか、また、未来まちづくりプランの中では経費の削減という考え方、そのような中での策定となっております。

 続きまして、市営住宅の現状ですが、現在、本市では99団地、23752戸の管理をしています。現状については基調提案の中でも詳しくまとめられておりますので、見ていただきたいのですが、概要の部分で説明をしていきたいと思います。

 竣工別の管理個数ですが、昭和40年代半ばから50年代にかけて、山科、大受、小栗栖といった大規模団地、あるいは洛西、向島といったニュータウンに代表されるように、年間800戸から1000戸を超えるペースで、市営住宅を大量供給してきた時代が見て取れると思います。その結果、今日、耐用年数が築30年を超える住宅が6割を超える状況となっており、これらの大量供給時代の市営住宅が設備の老朽化、あるいは耐震性能の問題をはらんでおりまして、市営住宅の管理のあり方を中心に大きな課題となっております。

 次に、行政区別に管理個数を見た場合ですが、山科区、西京区、伏見区、といった郊外への立地が多く、全個数の75%が実施されております。特に大規模団地を多数抱える伏見区が約半数です。一方上京区には市営住宅が立地されておりません。都心部には市営住宅は非常に少ない状況になっております。このことは、本市の特徴でもあるんですが、住宅政策的にも課題となっております。つまり、都心部の密集市街地には老朽木造住宅が多く、家賃が低廉であることから、公営住宅の入居階層が多くその中に暮らしているということがうかがえます。京町屋に代表される京都らしい町並みの保全と耐震や密集、災害路などの安心・安全対策の両立が課題となっている状況があります。ちなみに改良住宅の立地を見てみますと、郊外だけでなく、左京区や東山区下京区など、比較的都心部に立地している状況となっております。

 設備の面なんですが、エレベーターの設置率は、全体で約50%に留まっております。ところが平成3年度までは中層住宅には公営住宅の標準的な設備として位置づけられていなかったということがありまして、改良住宅につきましても、平成3年度以前に完成した中層住宅にはエレベーターが設置されておりませんでしたが、平成13年度以降はエレベーターの増築も順次進めてきたと言うこともあり、現在約6割の改良住宅にエレベーターが設置されている状況です。

 住戸内の段差が解消されている住宅は、約18%に留まっております。これは、住戸内の段差をなくした仕様にしたのが平成3年度の市営住宅以降ということからきているものです。また、浴室の設置ですが、公営住宅と改良住宅で設置率に大きく差が出ています。京都市では、改良住宅では、共同の市立浴場が設置されていたということによるものです。

 ここで見た、設備の状況というのは、高齢化の進展に伴って、現在では標準的な仕様とされているものであり、早急な改善を進めていく必要があると考えています。

 次に、対策が最も急がれている耐震性能の問題です。本市の、当ストック計画では、住棟ごとに耐震性能をランク分けで示しておりまして、後ほど一部紹介しますが、現在お住まいの方にもわかるように示しています。

 新耐震としているものと、ローマ数字のTとしているものが、耐震基準を満たしているもので、全体の56%ありますが、ローマ数字のUとVにつきましては、耐震改修が必要なもので、全体の41%であります。なお、ランク外としてるのは、用途廃止の木造市営住宅です。

 次に市営住宅におけるコミュニティにも関わってきます、入居者の状況を説明します。65歳以上の高齢者を含む世帯が、入居世帯の約50%となっていますが、京都市全体では、平成22年度の国勢調査における高齢者を含む世帯が約33%、市営住宅の高齢化率が非常に進行しているという状況にあります。一方、18歳以下の子どものいる子育て世帯は、市営住宅全体で約19%という状況ですが、こちらについては、京都市全体で約18%で大きく差は出ていません。ただ、改良住宅については子育て世帯が約12%と低く、少子高齢化が進んでいる状況がうかがえます。

 次に世帯人数の状況ですが、単身世帯と、二人世帯が、それぞれ36%合わせて73%と言う状況になっています。京都市全体でいうと、69%ということで比較して5ポイント高くなっています。特に改良住宅の方なんですが、単身世帯が約53%、二人世帯が約30%、合わせて約83%という状況になっていまして、小家族の割合が非常に高くなっています。市営住宅は所得の高い方は入居できないんですけども、所得階層別のコミュニティには偏りがあり、年齢構成や世帯構成から来るコミュニティの弱体化には何らかの対策を講じていく必要があると考えています。

 これまでの取り組みをまとめています。市営住宅の老朽化では、築30年以上が6割。耐震基準を満たしているのが56%。エレベーター設置率は5割、段差解消ができている住戸が2割、浴室設置は7割ということで、改善の必要な住戸が多いことがわかります。コミュニティの弱体化という意味では、高齢者を含む世帯が5割、子育て世帯が2割、二人以下世帯が7割ということで、団地内のコミュニティのあり方の検討も必要になっています。それから、昨年2月に作ったストック計画の前に作ったストック計画なんですが、その中での取り組みという部分では、耐震化やバリアフリー化といったストックの水準の向上というのは、建て替えでありますとか、全面改修を中心として進捗を図ってきましたが、なかなか入居者の意見をともなったこともあり、本市の財政状況から、結果としては、思うように進捗せず、ストックとしての課題も多く残されていると言う状況です。

 ストック総合活用計画というのはどのようなことをやっていくのか、ということですが、大きな命題として、フローからストック重視へということで、しっかりと手入れして長いこと使うということを基本的な考え方としております。住棟活用方針に基づいて、4つを示していて、住居活用方針は、団地ごと住棟ごとに耐震性能や施設の状況を分析して示しています。計画対象個数はは、23616戸、これは、22年度11月現在の数字なんですけど、その後の建設、建て替え等で若干数はずれています。計画期間は23年から32年度の10年間としています。4つの基本方針なんですけど、継続活用する部分では、21286戸これが90%に相当します。長期活用に向けて適切な維持管理を実施していきます。具体的には耐震改修による安全性の確保、エレベーターの設置によるバリアフリー化の推進など、住宅セーフティネットの充実を図っていきたいと思っています。一方で外壁改修など、国の長寿命化に伴う補助金なども制度化されておりますので、それも活用して努めて参りたい。耐用年限を経過した木造住宅の用途廃止する市営住宅280戸、1%としていますが、入居者の皆さまには、住み替えを行った上で、敷地の売却にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。現在、北区や左京区の北部、伏見区の市街地、それから市町村合併の前の町村にも残っているんですが、いずれも敷地が狭小なことから建て替えが困難になっています。

 建て替え対象の615戸、これは、公営住宅を示していて、環境配慮、財政課題に対応して建て替えを最小限に抑制することとしています。それから、集約の方の1235戸これは改良住宅の方なんですが、これは適切に改善された住宅に住み替えを進め、用途の廃止や転用などを進めていきたいと考えています。建て替えや集約を行う団地につきましては、16団地あるんですが、別途団地再生計画を策定し総合的に事業を実施し、コミュニティの活性化、それから団地内外の課題に対応する取り組み、敷地の転用でありますとか、売却など、そのへんを通じた活用を進めて参りたいと考えています。

 住棟活用方針で、一覧表があります。ここでは、例としまして、養正の市営住宅を説明させていただきたいと思います。まず住棟活用方針といたしまして、集約、継続活用、用途廃止などの判定を示しています。これは住棟の建設された時期でありますとか、設備面等一定の基準をもって判定したものです。基本的にはこの判定にそって、集約と判定された住棟から改善を実施した継続活用住棟への住み替えを進めていきたいと考えています。ただ、団地によっては入居者の皆さまの住み替え先が不足する場合もあります。ここにお示しした要請市営住宅についても住み替え先が不足することから、集約と判定された住棟について、必要な個数を考慮しながら継続活用への変更を検討しているところです。この活用方針については団地再生計画の中で検討を行っていくことにしています。その際には住民の皆さまと協議を重ねてご理解、ご協力の下に進めて参りたいと考えています。

 それから、住棟の改善方針ですが耐震改修やエレベーター設置、浴室設置などの改善を実施して参ります。要請市営住宅の場合は、1213等は耐震改修、高齢者等対応、浴室設置の実施を検討しています。

 最後になりますが、団地活用方針のイメージですが、集約住棟の跡地や空き住戸の活用を進めていきまして、多様な住宅供給でありますとか福祉施策などの連携を行いながら、団地内外のコミュニティの活性化を図って参りたい考えております。団地再生という部分で言いますと、ハードの部分は当然あるんですけど、合わせてコミュニティの再生という意味合いが非常に強いものかな、と思っておりますので、いわゆるソフトの面につきましては団地住民の皆さまと協議を行いながら進めて参りたいと考えています。

 

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