第47回人権交流京都市研究集会にご参加されました皆様方におかれましては,日頃より,部落問題をはじめとするあらゆる人権問題の解決に向けて,積極的に活動されておられること,また人権尊重の社会の担い手である子どもたちの健全な育成に学校や家庭・地域において大きな責務を果たされておられることに対しまして,心より敬意を表します。
さて,1970年に第1回部落解放京都市研究集会として発足した本集会は,2008年の39回大会からその名称を人権交流京都市研究集会へと変更しながら,部落問題をはじめあらゆる人権問題の解決を目的に,より広く人権について共に考える市民集会として充実発展してきました。
私事になりますが,私は,これまでの教員生活32年のうち,20年間を校区に被差別部落のある学校に勤務しました。荒れる中学生と向き合い,保護者や地域の方と何度も話をする中で,徐々に部落差別の本質に気付くことができたと思っています。不思議なもので,部落差別が社会問題であって個人の責任によるものではないこと,被差別部落出身の生徒が荒れるのも,その生徒の責任によるものだけではないと気付けたときには生徒の荒れは収まっていました。このことから,差別や偏見をなくす方法は,自分が差別心や偏見をもつ(もたされてきた)人たちと交流する以外にないのだと感じています。
本集会の本質は「交流」です。社会にある様々な立場の人たちが,その違いを正しく理解し,認め合ったうえで交流できたときに,不幸にも人と人との間にある「差別の壁」は低くなるのだと信じます。子ども社会から“いじめ”が一向になくなりません。“いじめ”が起こったら,学校が保護者や関係機関と連携をとりながらそれに対処するのは当然です。しかし,「交流」を通してそれが起こらないような集団をつくることこそ重要です。
今回の集会でも,これまでの実績と成果を受け継ぎ,様々な人権課題の解決をめざして取り組んでおられる多くの方々との交流・相互理解・連帯を深めるとともに,本集会のスローガン「めざそう!共生・協働の社会創造」の実現に向けて,それぞれの立場で議論をしていただきますことをお願い申し上げます。
以上,第47回人権交流京都市研究集会実行委員会を代表してのごあいさつとさせていただきます。