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 ごあいさつ

第45回人権交流京都市研究集会

実行委員長   松 田 國 広

 

 第45回人権交流京都市研究集会に参加されているみなさまに、心より敬意を表します。第39回から集会名が「人権交流京都市研究集会」と変わり7回めとなりました。懐古的にこれまでの集会のあり方や参加規模を顧みたとき、少し寂しさを感じます。しかし、「人権」「差別」は、私たち人類にとって普遍的で根源的な問題です。

 1970年に始まった「部落解放研究京都市集会」は、部落問題を主軸に「あらゆる差別を許さない」という理念で、多くの分科会をもって議論を積み重ねてきました。特に部落問題は、「『ひとの痛みは自分の痛み』として感じなければならない」と、共有・同一化することで問題を理解できると教えられました。部落解放運動の歴史をさかのぼってみれば、水平社運動から戦後の部落解放全国委員会の活動を経て、同和対策審議会答申が出されるという成果を勝ち取ることできました。その後「同和対策事業特別措置法」が制定され、30数年が経過しました。

しかしながら2002年3月末、特措法期限切れから、金の切れ目は縁の切れ目のごとく、部落問題を考えてきた人々が潮を引くように次々と関わりから離れていきました。運動はもとより同和行政の終焉を迎えて12年が過ぎています。行政側は、法的根拠がなく予算執行できない同和問題が優先順位の圏外にあると言わんばかりです。そればかりか、「日本に京都があってよかった」じゃなく「京都から同和問題をなくしてよかった」と陰口さえ言われるまでになっています。

これには、運動を進めてきた側にも多くの問題が存在していたことも実態としてありました。一時的にせよ行政闘争が運動の柱となった時期が長く続き、「運動対行政」の図式が市民から共感を得られない状況を生みだしたと思います。

 これまで部落問題に関わりもって運動理論を学習してきた者の一人として、現在の社会変化に解放理論が通じなくなったと感じます。労働環境が大きく変化して経済的な格差が生じ、同時に家庭環境も変化しはじめています。これまで以上に、経済格差による新たな差別を生みだす社会となっています。差別問題とは全く違う問題だと叱責されるかもしれませんが、経済格差が差別をつくりだすことは明白です。例えば、教育の機会均等や年金・医療崩壊なども挙げられます。

 一旦、これまでの培ってきた理屈や理論をリセットして、現状を分析する作業をはじめることが大事です。継続は力という言葉どおり、長年積み重ねてきた歴史ある集会だと自認しています。差別問題から遠ざかろうとしている人たちを再び迎え入れ、新たな仲間を増やす集会にしたいと思っています。そして文字どおり人権交流という名の多くの市民を巻き込んだ集会をめざします。批判されることにひるまず、自分たちの言葉や思いをはせることを願っています。

 

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