第44回人権交流京都市研究集会
実行委員長 加 藤 正 人
「第44回人権交流京都市研究集会」にご参加された皆様方におかれましては,日頃より,部落問題をはじめ,人権にかかわるあらゆる問題の解決に向けて,それぞれの地域や職場において積極的に活動されておられること,さらには人権尊重の社会の将来の担い手である子どもたちの健全な育成に学校や家庭・地域の連携のもと,大きな責務を果たされていることに対しまして、心より敬意を表し、連帯のごあいさつを申し上げます。
いま,いじめ問題が連日のように報道され,深刻ないじめ問題が顕在化しています。「いじめは,絶対に許されないものであり,どの子にも,どの学校にも起こりうるものである」という認識に立たなければいけません。「いじめ」は差別であり,重大な人権侵害であるとともに,構造的な問題でもあります。「いじめ」は,「いじめる」子ども,いじめられる」子ども,そして,「周りでそれを見ている」子どもなど,それぞれの立場が複雑に関係し合う中で起こってくる問題です。「いじめる」子どもだけを指導するだけで解決するものではありません。なにより,一人一人の子どもが,自分の存在を肯定でき,価値あるものと感じられているかというところを,実践の中心として大切にしなければいけません。そのような考えのもと,一人一人の子どもの命が輝くような学校づくりを目指し,教育活動を進めていく必要があります。
昨年の3月11日の東日本大震災は,一瞬にして多くの尊い命と多くの暮らしを奪い去りました。そして,これに起因する原発事故による放射能汚染は,人々の将来に暗い影を落としています。多くの人たちが避難生活を強いられ,仮設住宅での暮らしが続いている人や,失業など厳しい生活状況に直面している人もたくさんおられます。このことは,被害に遭われた人々や地域だけの問題ではなく,日本の将来を考える上で,非常に重要な問題として認識しなければいけません。同時に,原発事故の陰で起こっている偏見に満ちた言動を考えると,人権が尊重された社会の構築に向けて,なすべきことが多くあることを痛感させられます。また,部落差別をはじめ,人権にかかわるあらゆる問題を考えてみても,情報化時代の裏に存在する差別的な書き込みなど,解決すべき多くの課題が存在しています。
これらのことを踏まえて,第44回を迎えた今回の集会では,これまでの実績と成果を受け継ぎ,さまざまな人権課題の解決を目指して取り組んでおられる多くの人々との交流・相互理解・連帯を深めるとともに,本集会のスローガンである「めざそう!共生・協働の社会創造」の実現を目指す市民集会として,よりいっそう発展させたいと願っております。厳しい現実を直視した取組をもとに,私たちの新たに目指す方向や具体策が,明らかになることを期待し,活発な討議を繰り広げていただき,より大きな成果が得られますようお願い申し上げます。以上,第44回人権交流京都市研究集会実行委員会を代表してのごあいさつといたします。
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