ごあいさつ

開催要項

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第34回 第三分科会

三分科会 【まちづくりT】

       新たなまちづくりの創造

        〜人とひとが支え合う「まちづくり」をめざして〜

 

  日 時  2003年2月15日(土)午後1時30分〜4時30分

  場 所  水道会館3階ホール

  テーマ  新たなまちづくりの創造

       〜人とひとが支え合う「まちづくり」をめざして〜

 

  構 成  司  会   長谷川良知(部落解放同盟京都市協議会)

        報告@    蓮田  攻(立命館大学大学院社会学研究科、京都市総務局                        人事部職員研修所)

        報告A     西嶋 直和(本能まちづくり委員会委員長)

 

まちづくりワークショップ

       ファシリテーター  蓮田  攻(同上)

       記  録      澤田 忠明(京都市職員部落問題研究会)

       担  当      山田 康夫(部落解放同盟京都市協議会)

 

    参加者数 42名

内  容

1 開催趣旨

 今後のまちづくりを進めていくにあたって、ひとが主役のまちづくりを進めることが重要なこととなる。人とひとが支え合い、まちを愛する心をもって継続的にまちづくりが行われてこそ、まちがまちとしての機能をもち、ひとが住み続けられるまちが実現できるのではないか。

 今、部落の内で起こっていること、京都市の各地域で起こっていること、それぞれの課題に対する取り組みを見ながら、本当にまちづくりに必要なものは何かということを参加者全員で考えていく。

 

2 報告1

同和地区の改良事業と英国ハウジングアクショントラスト (略称:ハット)

 

                                               蓮田  攻

@ ハットが取り組む公営住宅の再生事業は、ハード面とともに地域の経済や社会を考えた生 活環境の改善や生活支援を行う地域ケアのまちづくりである。現代の日本の社会が抱える急 激な少子高齢化の進行や地域コミュニティの機能低下の問題等は、同和地区において若年人 口の流出による空洞化、また複雑化という現象として顕著に現れている。そこでハットの取 り組みをとおしてコミュニティ・ディベロップメントの在り方、まちづくりに本当に必要な ことを考えていく。

A 英国では、早く・安く・大量にできるコンクリートの集合住宅による手法でスラム解消を 図ったが、結果として、建設した集合住宅がスラム化したという悪循環に陥った。以降様々な試みがあった後、登場したハットは、従来の物理的な環境改善だけでなく地域に根差した 事業手法、社会政策的な経済的・社会的な支援、コミュニティ組織のエンパ ワーメントを図る等の住民を主体とした関わりと支援を行っていくという特徴をもつ。

B 地域改善事業の実施過程では、様々な副作用つまり他部門との調整、地元との利害調整、 住民の参画とパートナーシップの在り方、財政措置等という問題が必ずといっていいほど生じる。

  ハットの住民投票を経た共同声明による合意形成、また徹底した住民トレーニングによる エンパワーメント等の手法を見ながら、まちづくりに必要な仕組みづくり・人づくり等の在り方や方向性を考える。

 

【集会冊子レジュメより】

T ハウジングアクショントラストとは

 A スラム対策のための集合住宅、 B 集合住宅の再スラム化、

 C 数々の団地再生の失敗、 D ハウジングアクショントラストの登場

  1 自治体から団地を移管+独立した再生主体+住民投票によるスタート

  2 4つの法定目標(住宅の改修もしくは改善、効果的な住宅の管理運営、住宅所有形    態の多様化の促進、社会環境と生活状況の改善)

U 共通点=最も困難な地域改善の事例:悪環境と差別の複合したエリアが対象

 エリアベースドな事業手法、物理的な住環境改善とそれと連携した職業支援・コミュニティ 支援、時限事業方式と豊富な資金供給、コミュニティの参加・コミュニティ組織との提携

V ハウジングアクショントラストの概要

 * HATの事業体系(物理的な再生、住宅管理、コミュニティ支援)

 * HATが対決する問題(建物の悪環境、機能していない管理、人々の貧困)

W 対策上の共通点=地域改善の3要素(事業の共通点、住民参加、十分な資金)

X 相違点=副作用とその対応

 A 地域再生の3要素:対策の総合性、住民参加、資金供給

 B HATにおける副作用対応

  1 総合性→他部門調整の困難:オン・サイトでの調整決定

  2 住民参加→悪しきパートナーシップ(パートナーシップの問題点・副作用)

    利害の調整の難しさ、当事者(住民)と事業者(HAT)の調整困難、計画・実施の過    大化傾向、依存による自立阻害

  3 財政措置

    計画・実施の過大化傾向(自己責任化、役割の重任の禁止など、大きなアカウンタ    ビリティ)、依存による自立阻害(所有権移転によるリスク負担の設定)

 

 

3 報告2

本能学区のまちづくり

 

                                              西嶋 直和

 

@ 「本能まちづくり委員会」立ち上げ(1999年12月)の背景

 和装産業の低迷、職人さんの減少、染工場がマンションや駐車場に変わっていく状況のなか、より住みやすい・住み続けたいまちの実現に向け住民の方々と一緒に話し合う場として、自治連合会の常設委員会(連合会のバックアップがあるもの)としてまちづくり委員会が発足する。

Aまちづくり委員会の役割は町会費等の負担がみんなにあることから、新しい住民にも還元していけるような、また入っていける組織づくりという地域活動を考えていくことではないか。

B まちづくり委員会での取り組み

 ○ 1年目…2000年の取り組み

   主にまちづくり委員の勉強の年。大阪市平野区に事例研修へ。

   ・地域の再発見。 ・地域の歴史(織田信長関係等)を学ぶ。

 ○ 2年目…2001年の取り組み

   地域住民へのアンケート調査とその課題

   ・キーポイントとして回収率。新住民の回収率は10%に満たないことから、まず横を向    いている人をこちらに向いてもらうための努力が必要であるということを痛感した。

   ・そこで学区に61棟あるマンション一つ一つの実態調査に取り組む。

 ○ めざす目標と議論

   ・地域が一つになる目標を。

   ・外観だけよくても「人と人とが支え合うまちづくり」なくして住みやすいまちはない。

   ・すでにある高層マンションの住民の気持ちも踏まえた目標であること。

   ・暮らしに配慮した設計、等々。

 

【集会冊子レジュメより】

1 本能学区の概況

2 本能学区の地区計画の概要(平成14年8月都市計画決定)

3 本能がめざすまちの姿−『住みたいまち、育てたいまち、働きたいまち、本能』とは−

 * おつきあいを大切にして暮らしてきた文化をこれからも大事にしたい!

 * 地域の活力づくりも、住み続けられるまちをつくるためには大切!

 * 先ずはお互い挨拶のできる関係づくりをしませんか。

 * 調和のあるまちなみを求めていきたい!

4 本能学区のまちづくりの方針

 @ 今後のまちづくりの方向性

   ・お町内や街区の歴史、地域の共有財産等の生かし方を考えましょう!

   ・三条通りは賑わい交流空間を目指しています!

   ・隣接敷地や背面の居住者の暮らしに配慮した設計を考えましょう!

   ・まちなみや賑わい、潤いの連続性に配慮しましょう!

   ・共同住宅では、地域住民との交流を生み出す工夫を取り入れましょう!

   ・共同住宅では、ルールとマナーを守れる建築、設計をしましょう!

   ・防災や防犯への配慮をしましょう!

   ・本能での居住のモデルとなるような建築をしましょう!

 A 共同住宅の管理

   ・共同住宅内での町内会の「組」を作りましょう!

   ・町費の負担をお願いします

   ・地域の情報を早い段階で入居者に情報提供するよう、ご協力ください

   ・決められたルールを守り、気持ちよく暮らしましょう!

 B 地域自治活動への参加・協力

 

 

4 ワークショップ

 

                                   ファシリテーター  蓮田  攻

 

○ 「まちづくりゲーム」によって、住民のニーズと役場との話合い(交渉)、まちづくり 計画の作成、役場と政府との折衝、役場から住民への説明そして合意等、まちづくりに必  要な様々なレベルでの交渉と合意形成の体験をする。

  従来の「デザイン型」と違う「気づき型」のワークショップを意図している。参加者全員がふだんとは違う人物になりきって、まちづくりのシミュレーションやロールプレーイング等を楽しみながら進めていくなかで、まちづくりの様々な仕掛け、おもしろさ、つらさなどを体験していくことにある。

 つまりワークショップの目的は、@まちづくり計画の作成と住民合意の難しさやスムーズさを体験し、Aどういう工夫をすれば合意形成がよりスムーズになるかに気づいてもらうことである。

 参加者がデザインしたまちをつくるというのではなく、ワークショップを通じて持ち帰ってもらえるものがあることを期待した試みである。

○ 参加者(役割は「役場」)の感想

  ・まちづくり計画の作成にあたって、まちにとって必要なことへの自分自身の思い込みも   あったので、住民の声を聞いて見極めていくことへの難しさを感じた。

  ・様々な住民ニーズの集約と、国からは予算面での制約を受けるなかで、まちづくり計    画を絞り込みながらの住民説明と合意形成することの難しさを感じた。

 ○ まとめ(蓮田 攻)

  今日は「まちづくり組織」のカードを使わなかった。住民の合意を得るために一人ひとりをたずねていたが、そうではない合意形成の方法もあるのでは。

  住民の方もそれぞれのニーズを、気持ちを集めていくということがあれば、スムーズさ、また計画に反映されやすさがより出るのでは。

 

                                                                  以  上

 

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