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 第2分科会 

共生社会と人権

 地域社会とハンセン病問題

■会場 1階会議室 


 ハンセン病者に対する不条理な強制隔離を定めた「らい予防法」が1996年に廃止され、2001年に国のハンセン病制作の過ちを認める国賠訴訟判決が下された後も、すでに病の完治した多くの入所者が差別・偏見ゆえに社会復帰を果たせず、療養所で人生の晩年を迎えています。2008年6月に成立したハンセン病問題基本法には、問題解決のため地方自治体も責務を負うことが明記されています。療養所の有無にかかわらず全ての地方自治体が負うべき責務とは何か。地域社会とハンセン病回復者の関係のあり方を通して考え、地域社会とさまざまなマイノリティの関係についても考究します。

■コーディネーター

 訓覇  浩(ハンセン病市民学会共同代表、真宗大谷派解放運動推進本部委員)

 ■パネリスト

 藤野  豊(富山国際大学准教授、ハンセン病市民学会事務局長、ハンセン病問題ふるさとネットワーク富山代表、部落解放にとりくむ富山県連絡会議幹事)

 青木 美憲(元国立療養所邑久光明園医師、枚方保健所医師)

 森  敏治(ハンセン病回復者、関西退所者の会「いちょうの会」代表)

 平井 斉己(部落解放同盟京都市協議会事務局長)

 

 2008年6月11日、国会で「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」(通称「ハンセン病問題基本法」)が成立した。これは、従来の「らい予防法の廃止に関する法律」に代わり、ハンセン病回復者が隔離政策によって被った被害の回復とさらなる権利の実現という基本理念に基づき、ハンセン病回復者の社会復帰・社会生活の支援、ハンセン病療養所における生活・医療・介護等の充実、偏見差別の解消などさまざまな課題を解決する責務が、国と地方自治体にあることを定めた法律である。

 現在、全国13ヶ所の国立ハンセン病療養所で生活するハンセン病回復者は約2700名。平均年齢は80歳を超えた。彼らは、戦前・戦中・戦後にかけて全国の都道府県で行われた「無らい県運動」によって故郷を追われ、療養所に強制隔離され、いまだ帰郷することができない。「無らい県運動」とは、ハンセン病患者を地域から一掃することを目標に、地方自治体が先頭に立ち、住民にも患者発見・通報の協力を要請するなどして患者の療養所への強制隔離を推し進め、これによりハンセン病への偏見差別を創出・助長するのみならず、ハンセン病患者の方々に多大な人生被害をもたらした運動であった。

 また、療養所を退所した回復者(退所者)や、療養所に収容はされなかったが「らい予防法」の下で多大な被害を受けた回復者(非入所者)が、療養所のない都道府県においても地域社会で生活しており、その大半が、いまだ根強く残る偏見差別に脅えながら、不十分な医療・介護体制の下で不安定かつ不安な生活を送ることを余儀なくされている。

 だからこそ「ハンセン病問題基本法」は、療養所のあるなしにかかわらず、各地方自治体のハンセン病問題の解決を図る責務を定めたのである。

 

 ハンセン病回復者は地域社会とどう関わって生きてきたのか。地域社会はハンセン病回復者をどのように受け入れ、あるいは拒んできたのか。そして、2009年4月に施行される「ハンセン病問題基本法」の下で、ハンセン病回復者と地域社会との関係はどのように変わっていくべきなのか。このテーマについて考えることは、ハンセン病回復者に限らず、被差別部落民などさまざまなマイノリティと地域社会との関係のあり方を考える上で、多くの示唆をもたらしてくれるものと考えている。

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