トップ 1分科会 2分科会 3分科会 4分科会 5分科会 6分科会 7分科会 8分科会

                     

第37回部落解放研究京都市集会

  4分科会

だれもが安心して住み続けられる人権のまちづくり

 

                                   京都会館会議場

 

 日   時  2006年2月18日(土) 午後1時30分〜午後4時26分

 会   場  京都会館会議場   参加者数  32名

司   会     谷口 眞一 [部落解放同盟京都市協議会]

コ−ディネーター  宮崎 茂  [京都市職員部落問題研究会]

報告者・パネリスト 

    丸岡 康一 [部落解放同盟大阪府連合会まちづくり運動部事務局長]

     金城 一守 [株式会社ゼロ・コーポレーション代表取締役]

     芝田 幸次 [京都市都市計画局住宅室住宅政策課長]

記   録     山中 武志 [部落解放同盟京都市協議会]

酒井 仁志 [部落解放同盟京都市協議会]

 

 

 

 

 

< 討議の柱 >                        宮崎 茂

平成12年度に実施された「京都市同和地区住民生活実態調査」でも明らかなように、市内の同和地区では高齢化率が27.9%に達し、一般地区の18%と比較すれば、約10ポイントも高い状況にあります。その大きな要因の一つに、若年層の地区外流出と少子高齢化が急激に進んでいることが挙げられます。さらに、高齢化問題だけでなく、若年層の離婚等によるひとり親家庭の児童・生徒の低学力実態、低所得化など、新たな課題も露呈しています。

 このような若年人口の流出や高齢化と生活困難層等の課題に対応していくために、今、各地区では、改良住宅の建替えを契機に『まちづくり協議会(仮称)』を立ち上げて、住環境だけでなく保健、福祉、教育、啓発などの各分野から見た「まちづくり」が模索されています。

 しかし、一部の地区の現状を見ると、建替えのために居住面積や家賃などに重点が置かれ、新築後の住まい方等は従前と変わっていない地区があります。具体的には、狭隘な居住面積が改善されたにも関わらず、廊下に物置用の収納庫が置かれたり、ペットの飼育・自転車マナー問題などがあり、住民の自治意識も『まちづくり協議会(仮称)』の中で協議する必要があると思います。

 また、多様な住宅整備だけでは若年層の地区外流出を止めることにはならず、Uターンを呼びかけても若者は戻ってきませんし、若年層が定住するだけで活性化は期待できません。

 むしろ外資系の企業などを導入してコンビニやミニスーパーの誘致、さらに『まちづくり協議会(仮称)』や各団体が様々な事業を展開し、交流人口の活性化と、コミュニティセンターに証明書発行コーナー機能を併設するなどして交流人口の安定化を図ることにより、まちを蘇らせることができます。

 そういったことから、今回より当分科会では従来の保健・福祉の分野に含めて、さらにエリアを拡大して、賃貸住宅をはじめ定期借地権付住宅、トータルリモデル住宅、高齢者グループホーム、障害者グループホームなどの施策を活用し、さらに民間のコンサルタントや開発企業者から見た「まちづくりのあり方」、全国の先進地からの実践報告などをいただき、各地区のまちづくりに生かしていただければと思っています。

 

< パネラーからの報告 >

 

1 「であい・つながり・げんき」から豊かな地域コミュニティへ  丸岡康一

・ 以前は、特別措置法を如何に有効に活用して、生活基盤を安定させるかということが、大きなメインである取り組みでした。

・ 行政に対して甘えや依存があったということで自分たち自身の運動を改めて見直していかなければだめだというふうに思ったのが、1992年からで。自分たちの心の中に、村の人たちの心の中に部落差別があることに気づいた。閉鎖された故の閉鎖的傾向、これを解き放つことこそが部落解放の本来ではないかというふうに思い、差別からの解放という、一つの目標を達成するための取り組みを行いました。

・ 村の人たちが、村の年寄りが、村の若い者が、本当に、自分たちがそこで当たり前のように生活できる生活空間を作り。誰とも、部落の地区の人が地域の人たちと、当たり前のように繋がっていく。

  自分が生まれたところが、日本一なんや、の気構えでいい町並みができる。

・ 自己選択、自己責任、自己実現ということをテーマに自分たちは取り組みを進めてきました。

・ 部落完結型の運動というのは破綻したと大阪の中では規定しているのです。

・ まちづくりというのは、部落と部落を含む周辺地域、小学校区を一つの単位とすることが必要です。

・ ソフト面から、基本的にはハード面を見るという取り組みをやってきました。

・ 若者の部落からの流出が非常に多く、高齢化率が高くなってきています。箕面の団地の126戸ある中の約60%が高齢、独居世帯です。

・ 地域のコミュニティを非常に重視した取り組みをやり、部落と部落外との豊かな関係作りを実施しています。

・ その地域の、自分たちが安心して生活できる空間造りの責任者は、住民なのです。その住民を後方支援し、サポートしていく、ここに行政の大きな責任があります。

・ 大阪府がまちづくり支援制度を作り、3年を限度に1年間400万円のコンサル派遣料が出る制度があります。

・ まちづくり協議会設立準備金、まちづくり活動費として50万円の活動資金が出る制度が創設されています。

・ お宝発掘隊は北芝のまちづくり協議会です。住民参加でやり、一番大事にしたのは、「つぶやき拾い」です。

・ 村の人的財産を如何にお宝発掘隊の中に登録してもらうか。大工さん、電気屋さん、水道屋さんも登録してもらい、電話一本で、大工さんに、水道屋さんに行ってもらう。地域の何でもお助け隊みたいな感じをやっています。

・ 北芝の長屋版も考えてみました。公営住宅3DKだが、3DKもいらない、大きい。もっと小さくてよい。隣同士の顔が見えない。だから、昔ながらの長屋がいいと。真ん中に共有・共同のリビングがある長屋型の計画を作り、地域計画の中に位置づけられています。

・ 花いっぱいの取り組み、コミュニティビジネス作り、おいしいお惣菜屋さん、ちょこっとなんでも配達屋さん、わがまま旅行者の夢叶えるとか。かやのテクシーという地域通貨を用いた福祉タクシーのモデル事業とか、色々やってきました。

・ 地区内遊休地を利用した、定期借地権を利用した地区内コーポラティブ住宅も考えてきました。「人生かけよう会」11人集まってくれましたが。今、箕面に新都心が出来まして、土地が安くなってきまして、マンションの3LDKが、2,500万円ぐらいで売っています。一つ建てるのに3,100万円から3,500万円かかるから、「それだったら、マンション買うわ」というのが多いのですよ。「どないしょうかいな」言って、考え中ですけれど。

・ ゆめ工房プロジェクトとして、これについては、自分たちで作る自力建設ということで夢工房、地域交流・情報発信、インキュベート基地というようなところです。

・ 支部が暮らしづくりネットワーク北芝というNPOを作って、そのNPOを中心にして、特にコミュニティビジネスを作り、地域に役立つ仕事作りをしています。

・ まちかどデイを作り、ボランティアグループ「よってんか」もできて。食の福祉サービス、おふくろの味で暖かいものを暖かいうちに提供していく新しいシステムもできました。コミュニティレストランも作りました。かやのテクシーも今、試行でやっています。

・ まだできていないのが、生活援助員、ホームヘルパーステーション、小規模多機能型のデイサービスセンター、住宅の福祉化、コーポラティブ住宅、グループホームです。

・ 地域の如何につぶやきを拾い集めるか、併せて、地区住民が、自分たちが、自分たちの生活空間を良くするかということを考えない限り良いまちづくりはできない。行政から「こうしなさい。ああしなさい。」では絶対にできません。

・ 地域に責任を持つのは地域住民です。うちは、公営住宅についても、部落住民だけではなくて、地域の生活困窮の人とか、ハンセン病で阻害された人とか、色んな人が一般入居しています。

 

2 「ゼロの街づくりアイテムでよりよい街に」          金城一守

・ ただ開発道路を抜いて、家を造るだけではお客様が満足されない。魅力を感じないことが除々に分かってきまして、お客様が興味を持たれる、魅力を持たれるまちづくりとはどういうものか。そこで暮らす人が魅力を感じるまちというのは、どういうものなのか、考えることになりました。

・ 自己選択、自己責任、自己実現ということをテーマに自分たちは取り組みを進めてきました。

・ アイテムリストは次のとおりです。

@ 24時間オープンコミュニティ…「インターネット町内会」…その頃、インターネットが流行りかけていまして、インターネットを活用して町内会をつくろうということをしました。残念ながら今は、我々が手を引き、町内に任せたので、機能していません。

A 街をいつまでも美しく…「街づくり憲章」…マンションの場合は規約書がありますが、規約がないので、干し物の干し方や玄関前には物を置かないこと、ストリートライトとかのルールを決めました。

B 住民どうしもっと知り合おう…「住民意見交換会」…町内会を作るために、まず、道路上での焼肉お食事会、そして、町内会の役員をつのり、立ち上げてきました。大きな団地でこのような手法で、町内会が出来てきています。

C 通る道は憩いの場…「コミュニティ道路」…小さな開発では、道路をうまく活用できないかということで、床机を出して夕涼み、子供が遊べる場所等での活用を考えました。また、歴史的な背景がある場合は、もともと建っていた建物が歴史的な意味合いを持った建物の場合は、そこにある石畳であるとか、その関連するものを、記憶を連続させるために残していく作業もしています。

D 安らぎの光が街を守る…「ストリートライト」…各家に決まったライトをつけ、夜の6時、7時に一斉に点灯し、個々には消せないようにし、11時、12時に一斉に消えるというシステムにしました。そして、これも憲章に入れました。

E 街並みは緑のオープンスペース…「シンボル&ストリートツリー」…都市型の開発の場合は、緑がなくなります。一本、一本植えていきます。車を2台置きたいからといっても、1台にして、木を植えてもらっています。

F 犯罪をよせつけない街づくり…「タウンセキュリティー」…両側住宅、両側に家があって、お互いが、そこに誰が住んでいるのか分かっている家は思ったより犯罪が少ない。犯罪がないということが大体立証されています。また、公園とか道路の角に防犯カメラを設置するとかのノウハウもあります。防犯ガラスとか各種の資材、器具も用意できます。

・ ざっと以上のようなまちづくりのアイテムを活用しながら、街を作っているというふうなことです。

 

3 「住み続けられるまちづくりに向けて」            芝田幸次

・ すみ続けられる魅力あるまちにするために公営住宅・改良住宅において、あらゆる世代が住みやすいまちにするために、2000年3月にパートナーシップによる住環境整備指針を策定しました。これは、京都市が持っている2000年度に作られた京都市住宅マスタープランを受けてのものです。

・ マスタープランには次の三つが基本方針として考え方が挙げられています。

@ 多世代、いろんな世代の人たちが支えあう地域居住の支援として、多様なニーズに対応して住宅を供給すること。

A 住まいの質を高める仕組みづくり、住まいの品質の確保と住宅のストック

B 市民、事業者、行政の信頼関係の構築と、それらの連携の仕組みづくり

・ 住民参加のもと、改良住宅等の建替え計画をつくるとともに、建替えを契機とした総合的なまちづくりを図っています。

・ 指針に検討課題を6点、挙げています。

@ 狭小化、老朽化で建替え

A マイカーについての駐車場問題

B 高齢化の進行

C 住民のまちづくり組織との連携。その組織の設立と運営

D 地区内の公共施設の有効利用

E 空き家が生じていることなど

・ まちづくりの目標像…「住み続けられるまち」

・ すみ続けられる魅力あるまちの形成とその仕組み

@ 魅力ある団地環境の形成…まちなみ・住棟デザイン・緑化

A 多様な住宅供給…定期借地権付住宅・スケルトン住宅・コーポラティブ住宅

B 公共施設等の活用による地域拠点への誘導

C 周辺地域との交流と共生…一般公募の実施

・ 住民による自主的なまちの運営…行政の支援と方策、その仕組みづくり、住民が主人公のまちづく     り

・ まちづくり支援制度を作っている。…一次は、専門家を派遣、組織づくりから、形成後は目標づくり、二次は、基本構想の練り上げのため、コンサルの派遣。コンサルの調整がまちづくりに役立つ 

@ まちづくりの主体と活動

A パートナーシップによるまちづくり

B まちづくり活動におけるNPOの役割 

・ 多様な住宅はなぜ必要かは次のため

@ 高齢者対策…安心して住める視点

A 人口の流出

B 建物の長寿命化

C 地区外からの流入

・ コーポラティブ方式による定期借地権付住宅、これも、新たな住宅供給方策の一つ。

・ 筑波で始まったスケルトン住宅、大家さんが建物の外側をつくり、中の間取り、内装等を借りるか買い取る手法。

  まちづくり協議会を作っていただいて、活動を支援するが、整備指針ができても多くの課題があります。

 

< パネルディスカッション >

宮崎 建替えのための建替えになっていないか。創造的なことを入れて協議されているのかな。

芝田 建て替えが楽只、三条、崇仁、錦林で始まっており、まちづくり協議会が住民主導で活動、学習会をしたり、ワークショップや先進地の視察が行われています。

宮崎 僕も、千本や田中も見てきたのですが、廊下にヨドコウの物置を置いて、犬も廊下にくくってある。去年までのうちの分科会は、福祉と人権でなく、福祉で人権のまちを作ろうということでやってきました。各地区の建て替えに生かしていただきたい。

丸岡 お宝発掘隊の一番の仕事は何かというと、住民の皆さんがどういうことを考えているかということを「つぶやき」として拾い集めていく。みんなで、そのつぶやきを大きく広めていって。そのつぶやきを形にしていかななければだめだということです。ワークショップのやりかたとつぶやきのやり方を同時進行でやるのです。必ず、一回目が終わったら、二回目の時には、一回目の振り返り、つぶやき拾いの結果報告をします。かやのテクシー、福祉タクシーですね。それを、地域通貨を活用することによって実施し、その地域通貨は、新都心の109シネマでも使える。そんな、状況になっています。

高齢者の街角デイサービスを自分たちは作ってきた。行政は、こういった地元の取り組みに対しては、積極的に協力しようということで、補助金なり、あるいは委託費というものをどんどんどんどん提供するようになってきました。

金城 家を買っていただけるまでは、お客様ではないという言い方をよくしています。しっかりお客様に内容を分かってもらって、買ってもらいます。変なお客様は、お客様になってもらうな。極力、排除せよと、途中で排除せよとしています。そういう拒絶をして商売が出来ないかというと、商売が出来ているので、まあ、これは、これでよかったかなと思っています。

シックハウス対策は、国の制度として出来ていますので、性能表示の3の最高等級の材料、建材を使っていくと、最高等級になります。それから、花粉症対策は、建物の気密性に関係します。木造建築を造り続けると、どんなやり方をやると、性能表示3、気密性を高める家造りが出来るかが分かってきます。

宮崎 これから建て替えて行ったら、家賃が6万円、7万円していきます。隣のマンションにはエントランスがあって、値段一緒で、オートロックでセキュリティも出来ている。改良の建替えで、エントランス、オートロックと言うのは、発想にないのですけれども、できないものですか。

芝田 駄目だということはないと思うのですが、国の補助が入りますから、補助基準があり、その辺の制約はあります。標準建設費というのがあって、建物の階数、中層とか高層とかありますが、大体、一戸当たり、本体工事で、千四、五百万円と言われています。建築と電気と機械が入ってます。

宮崎 分かりました。1戸、一千五百万やて、私とこに任してくれたら良いの建てますよと。どうです。

金城 70平米、21坪で千五百万。戸数にもよるのですが、例えば、30戸とか、50戸とかでしたら、こんな値段でなかってもいいと思います。

宮崎 京都府の指針を見ていましたら、廊下はできたら1m20以上にしてねと。それから、エレベーターは絶対つけてよと。最低9人乗りで、ストレッチャーが付くと。ところが改良住宅は、ストレッチャーの付くとこが非常に少ないので、これは、消防からも言われているのですが。

千本地区で定期借地権付住宅がいよいよスタートするのです。10軒か11軒でスタートするのです。

芝田 土地の問題ですが、千本のは、更新分譲で、要は、建替え計画のある住棟に住んでいる方が、更新するために、集まって分譲するという。補助制度でも、更新分譲という制度です。50年経って、売却できるのかどうか。このことは、まだ、相談が出来ていないというところです。

宮崎 浴場跡地を、そこを分譲することは可能ですか。

芝田 住宅地区改良事業法では、協議すれば可能ではないかと思います。あくまでも、定借をプラスして、従前の住棟の戸数が確保できている場合です。

丸岡 大阪では、現在、三箇所で進んでいます。特に、日の出は、新大阪の周辺なのですが、ここは二箇所やっています。ひとつは、今、浴場があるのですが、その二階以上四階を定期借地権でやりました。これは、村の人の土地だったところです。西成と日の出のもう一箇所は、小集落改良事業で先行取得した行政の土地を普通財産に戻して、定借しています。大阪は、その先行取得の土地に建てようという方向で進んでいます。各市町村に先行取得した土地を有効活用してくださいと言っています。

宮崎 定借は担保価値がなく、ローンが組めないのですか。

金城 定借でも、住宅金融公庫は貸してくれます。銀行と共同でフラット35という、35年間、同一利率の固定ローンの商品があります。住宅金融公庫が、これからも存続することが前提ですが。

宮崎 40年前に、33平米の改良住宅を建て、その都度に、40平米、50平米、今、60平米が一番広いところで、建て替えで70平米に平均なってきています。この基準は、昭和41年に住宅建設計画法ができ、住宅建設五カ年計画が、八期まで来ているのです。この三月末でこの計画は、国交省からなくす方向が出ているのですが。京都市は、今後、70平米を最低居住水準とするのですか、数字はあるのですか。

芝田 住生活基本法案というものができ、量から質へ考え方を変えて行こうという方向です。具体的な数字が分かりません。分かり次第、ご報告なりができると思います。

宮崎 四人家族を、基準にして、業者で建てる住宅の面積は、大体の想定面積を教えてください。それから、マンションの最近の広告を見ていたら駐車場100%ですよというのが結構ある。マンションの駐車場はどれだけ必要ですか。

金城 我々の方向性として、木造は100平米以上を標準においています。今、スケルトン企画という商品では、105平米から110平米位を企画の中で目標にしてやっています。

宮崎 業者の一般的な坪数は。

金城 業者の一般的な坪数はもう少し小さい。我々はもう少し大きいのを標準としてやっています。マンションは一般的に見ますと70から75平米位が一般的な住居範囲だろうと思います。

駐車場は、都市型と郊外型とは少し違います。都市型は、そこに100%置けるかというと、ほとんど100%は、置けないと思います。郊外型は、100%の駐車場がなければマンションが売れない状況です。

会場 市営住宅は、なんか外観が見るからに市営住宅で。いっぱい並んでいて、汚いというイメージがあるのですが。近隣の町並みとか、もっと色に気をつけるとかは考えられていかないと。そして、新しい棟と古い棟のアンバランスが。

芝田 新しい住宅は、その地域に合ったデザインで、考えられていると聞いております。

会場 新しい所はそういう風にできているのですけれど、新しい所だけ綺麗になっても町全体としては統一性が無いなというのが、思いなのです。

芝田 計画的に外観の補修はやっております。確かに、隣に新しい住宅が建って、隣はすぐに、外観の補修ができるのかって言ったら、そうではないのが現状です。町の美観に配慮しながら行う必要があるとは思います。

宮崎 前に僕らが提案したのは、人口の固定化、増加は、なかなか見込めないので、交流人口を安定させていこうと。そのためには、地区の中の地区施設の活用。例えば、コンビニとか、外資を引っ張り込んで、そこでレジ打ちの子、裏で商品を扱う子が、地区の子で、周辺地域を含めて、雇用創出につながれば、大きな活用になると思うのですが。

金城 崇仁の町づくりについて話します。まず、建築家、コンサルに、依頼するとあのまちに大きな建物を建てようとするんですよ。京都が魅力的であるのは、私、祇園の、祇園コーナー、八坂、二年坂、三年坂、歴史的な背景のある低層住宅があって、そこにお客様が集まる、観光客が来ると思うのです。例えば、伊勢にあるおかげ横丁は町として活性化して魅力のある地域になっているのです。

崇仁は観光客を呼べる低層住宅の京町屋をイメージする町並みでするのが良いと思います。人の流れは、京都駅からずうっとそこを歩くことによって、連動性を生かすことによって、博物館、三十三間堂のほうに行くことが出来ますよという提案をしていきますと、京都の老舗の皆さん、例えば、油とり紙屋さん、「よーじや」さんとか、そういうふうな饅頭屋さんとかが、先行投資で進出することも考えられます。京都の場合は、変なコンサル、変な建築屋に頼って、ちゃんとしたイメージ、構想が出来ていない。崇仁の皆さんがそこに定借で、ファサードが町家風の家にお住みになると、町自体も活性化するのではないかと思います。

丸岡 自分達で出来ることは自分達でどんどんどんどんやっていく。行政の役割は必要なときに「行政、協力してな。」ということで。行政、支部、地元、企業の役割を決め、やっているのが、このまちづくり協議会なのです。

企業に地元の人間をどれだけ大事にするかによって、宣伝効果にもなるとのことで、まず地元雇用を優先的にやってもらったということと。もう一つは、新しい住民とその生活空間の旧住民、新旧住民が一体となってこの周辺のまちづくりをする必要がある。部落の伝統文化であるタイマツのお祭りを新都心に持って行き、逆に、新都心の方には東急不動産、イオン株式会社の人たちには、地元雇用と。併せて、東急が持っている東急の、イオンはイオンが持っている人との関係のノウハウ、経営ノウハウ、ファンド、お金を貯める工夫、ノウハウであるとかを、逆に提供してもらっています。新都心が来るのに反対、反対、反対のための反対の取組みやったら、まちづくりとか、新旧住民の連携みたいなものは絶対に出来ないです。

宮崎 大阪のあちこち、例えば、西成では、カードがあるのです。カードで町内の中だけですが、八百屋へ行ったり、喫茶店へ行ったり、それで、支払いできる。町内だけに通用する。北芝では、「キタシバラク」、そういう通貨を創ったりしています。

これから、まちづくり協議会を立ち上げるときに気を付ける点を教えてください。

丸岡 まちづくりは、コーディネーターがしっかりしていなかったらだめです。大阪府下の中でもバランスが全く違うのです。行政に依存して、どっぷり浸かっている所もあれば、このままでいいという所もあるし、色々、様々なのです。例えば、支部の幹部の方、役員の方、特に、気をつけないといけないのは、本当に、しっかりしたコーディネート機能を持たなければいけないということです。

僕ら、年寄りに恨み、辛み、言われるのですが。しかし、出来てきた結果を見たら、文句言っていた人が、文句言わないで、最近そこに参加してくれています。

お宝発掘隊の中には、部会があります。特に、住宅の福祉化というときには、当然、村だけではなく、周辺の人たちも一緒になった福祉のサービスメニューを考えていくのです。その結果として、生活援助員という見守り制度、おふくろの味宅急便という配食サービス、街角デイも、これらみんな一緒に取り組んでいます。後、問題は、住宅の建替えについては、自分らの生活、永住というのがあるから、なかなか、まだ、一緒にはならないです。

今、住んでいる人たちのつぶやき、思いをどれだけ拾い上げて、物事をどれだけ、政策なり、あるいは、具体的計画の中に位置づけていくかということを、僕らは、大事に考えて、計画作りをやってきています。そのことを、箕面市は、箕面市として、捉えて、ストック活用計画に生かしています。

宮崎 地元で学区の人たちと一緒に、保健・医療・福祉のネットワークを、去年五月にNPO法人を発足して、今、隣保館の事業を受託しています。うち「壬生」コミセンと言うのです。なぜ壬生というかは。壬生寺の壬生、新撰組で有名な。近所なのですが。うちは、厳密に言えば、字は「西ノ京」になります。中京区西ノ京。なぜ、ここは壬生隣保館という名前なのですかという疑問が出る。僕らは、行政と運動だけでは、決して違和感はなかったのですが。一緒やることになったら、例えば、壬生ふれあい祭り、壬生なんとかにすると、学区の人たちが寄りにくいのです。それで、学区全体の事業ということで、うちの学区は、京都市内は、小学校に、銘木百選で、学校に木を植えている。教育委員会は。うちは、アカシヤの木が学校のシンボルで、周辺でアカシヤと言ったら、うちの学区をイメージしている。それで、「あかしやふれあい祭り」になったら、参加が増えた。

同和地区の名前をつけたふれあい祭りが開催されているが、各種団体が応援に行っているだけで、交流になっていません。一回、ボールを投げて、名前を変えていかないと。交流の広がりが少ないよと思うのですが。

防災、防火意識が、高くないこと。すべて改良住宅なので、火事いっても、何いっても、市がしてくれる。こういう、悪い部分の意識として、ずうっと今日まで定着してきたから。

定期借地権付で個々が分譲住宅を建設していった時には、そういう意識もまちづくりの中で、僕らが、変えていかなければと思います。

各地区、いいコンサルといい設計事務所を引っ張ってこないと、行政主導で行ったら、建替えのための建替えになるので。しっかり、僕らも、勉強してやってもらいたいと思うのです。

芝田 今、お二方のご意見聞きながら、やはり、まちづくり組織の重要性を非常に感じました。住民とコンサル、行政のこの三つの連携、この役割分担が、あらためて、重要だと感じさせて貰いました。

金城 ある地域の建て替え事業の相談に乗りまして、少し枠組みがきつ過ぎるなと思いました。定借で七軒か八軒の建て替えだったのですが、一体の建物でしかもRCでやらなければいけない。RCというのは、何十棟という建物をつくるときの建築手法であります。五棟、六棟の場合、木造住宅は、坪35万円位で出来るのに、RCの場合は、60万円になる。

丸岡 これからは、コミュニティ分権の時代。地方分権の時代からコミュニティ分権の時代で、地域コミュニティを高めていくことが非常に大事である。行政はこれをどうサポートしていくのか非常に大事な時です。各支部に、今、言っているのは、今までどこかで行政主導のまちづくりであったし、ハード中心のまちづくりであったが、今度は、地域の支部、地元の人たちの主導のまちづくりをやらない限りできない。本来のまちづくりをやっていくには、自分たち自身が、自分たちで、自分たち自身のまちを考えていかなければならない。地域コミュニティ、コミュニティ分権、教育コミュニティ、色々な側面からどの切り口でもいいから、その取り組みをやってほしい。そのためには、各地区の指導的役割の人たちが、指導力を発揮し、しかし、今度は、指導者任せでなく、指導者もあくまでもコーディネーターであって、責任を取るのは地元の人なのだということを、どれだけ、京都の中で、広く、方向化できるかと言うことです。僕は、京都のNPOとか、住民の皆さんはできている可能性が高いと思います。

僕は、大阪でも自分たち自身やりますし、京都の皆さんと一緒に考えながら、やっていきたいと思いますので、これからも一緒に、よろしくお願いします。

宮崎 丸岡さんが言われた、私たちがこれから、まちづくりをして行くのに、自分たちがまず、主人公でなければだめだ。役所に任したらだめ。いいコンサル、いい設計事務所と、うまく連携を持って、色々なことを勉強して、各地区の新たなまちを作っていく。

金城社長は、京都の町はこうあるべきだとのことで、色々なところで研究されてきた何点かのアドバイスをいただきました。今後、定借では、少ない戸数の場合は、RCは高くつくし、木造でした方が安い。そのためには百坪借りるのでなく、二十五坪を四人で借りて、一戸一戸ずつ、やったほうが、色んな意味でいいよと。

芝田課長は、一つの京都市のこれからの考え方を言っていただいた。国の制度が変って行くので、不透明な部分があるので、話しにくかったと思いますが。

今後、まちづくりを行っていくために、是非参考にしていただければ、助かりますし、各地域には、色んな考え方や、温度差がありますので、一つの参考として、使っていただければ、私としては、今日の分科会をやって、成功かなと思います。

申し訳なかったことは、この分科会が隣の第3分科会と、非常に類似した内容になったことです。隣の第3分科会のコーディネーターの寺川先生は、丸岡さんの北芝にまちづくりのコンサルとして入っておられた先生なのです。そして、寺川先生は、千本のまちづくりにも入っていただいている人なのです。

  できれば寺川先生にここに来ていただいて、千本支部の仲間がここで発言、いわゆる第3分科会と第4分科会が一緒になれば、人も分散してしまい、内容も、京都の活動を発表できず、京都の人間として寂しい思いがあるのです。

来年、出来れば、一緒に分科会をして、もう少し実りのあるものに、変えていきたいというふうなことを痛切に感じまして、総括会議では提案をしていきたいと思います。

 

< 分科会を終えて(後日談) >

・ 報告者の資料を確認不足が原因で大会冊子に掲載することができなかった。(当日配付で対応)

・ 今回の内容については、各地で進められている建替えを契機としたまちづくりに、非常に、参考になるものだったと思った。

・ まちづくりはハードだけでもだめであり、ソフトだけでもだめであり、二つが一体となった取り組みが必要である。そして、丸岡さんの話にあったように、ソフトからの出発が現実的には、うまく行くようである。

・ 参加者が非常に少なく、やはり、次回については、内容的にも、第3分科会と第4分科会が合同で行う必要があると痛感した。

 

  

戻る