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第37回部落解放研究京都市集会

  分科会

ひとり芝居「最後のひとこと」

〜伝えたかったこと、伝えられたこと〜

 

                                   京都会館第2ホール

 

 

◆ひとり芝居 古森義和(京都市立第三錦林小学校校長)

◆お話   井上新ニ(京都市総合教育センター カリキュラム開発支援センター 担当課長)

◆進行   吉田 悟(部落解放同盟京都市協議会錦林支部)

   

1 スケジュール

    午後1時30分       開会

    午後1時35分〜1時55分 お話し

       「ひとり芝居『最期のひとこと』の上演に当たって」(井上新二)

    午後2時〜午後3時     

−ひとり芝居『最期のひとこと』(古森義和)

    午後3時〜午後4時     お話し

「ひとり芝居『最期のひとこと』を通して」(井上新ニ)

 

 

 

 

2 分科会の要旨

(1)「ひとり芝居『最期のひとこと』の上演に当たって」(井上新二)

   『最期のひとこと』の脚本を書かれた井上新二さんから,『最期のひとこと』が生まれた背景について解説があった。

 

   ・ 今回のひとり芝居は,識字学級で書かれた作文が基になった。

   ・ 芝居の中に3点を盛り込んだ。1点目が,「人が人として生きていく上で,差別をされることはどれほどのことなのか。」。2点目が,「人が人として生きていく上で,人を差別する側の人生の中にどういうことが巻き起こってくるのか。実際に,何を失っていくのか。」。3点目が,「部落差別を許す社会の中で我々が失ってきたものは何なのか。」である。

   ・ 「部落問題の解決は,同和地区の方々だけの問題が解決するのではなくて,社会全体の多くの問題が解決するのではないか。」,「部落差別を解決することによって,私の問題はどう解決するか。」ということを問いかけながらこのお芝居をつくった。


(2)「ひとり芝居『最期のひとこと』を通して」(井上新ニ)

  井上新二さんから,『最期のひとこと』について,芝居の背景や「差別をする」  という状況,「差別を受けるという状況」について,芝居の場面を振り返りながら説明があった。その後,参加者との意見交換を経て,最期のまとめが行われた。

 

参加者からの感想

 ・ このひとり芝居には,たくさんの願いが込められており,新鮮な気持ちで感動して見させてもらった。

 ・ 「部落差別を許している社会の中で,私たちは何を失ってきたのか。」ということを考えさせられた。自分が,中身ではなく器で人を判断してしまうことを反省するとともに,そのことが差別につながるということを改めて感じた。

 ・ 教師の責務として,今の子どもたちに世の中にある間違った考えや不合理に気付く子どもにしていかないといけない。また差別に会っても相手を説得できる子どもにしないといけないと感じた。

・ 劇の中で「尊敬」という言葉が印象に残った。今は,差別が見えない時代と言われる。フミさんは最期に姑を尊敬している。最期に姑さんを救っている。どこに相手を尊敬する力があったのかという視点で見させていただいた。私は,教師をしているが,子どもや保護者や地域の方を尊敬という視点で見ているのかなあと改めて感じた。

・ どうしたら,子どもたちを尊敬できるのかと言うことを考えていきたい。

・ 私は,部落差別によって学校に行きたくても行けなかった。10代から女中奉公で,買出しに行っても字が書けない,計算ができないということで,泣いていた。識字学級で字を書くことと,覚えることの喜びで一生懸命習ってきた。井上先生に基礎を教えていただいた。自分は,人差し指が大好きだった。良い作文をこれからも書きたい。人権学習にも力を入れたい。

・ 私も識字学級でこれからも頑張っていく。

・ 芝居で,「お姑の差別発言は間違っている」と反論してほしかった。

・ 自分の女房が部落出身だ。結婚する時は大変苦労した。

・ このひとり芝居を観たのは2回目だ。自分を信頼してもらうためには,相手のことを信頼しなければならない。自分も信頼される人間にならないといけない。お互いに共生していくことが重要。あらゆる差別を無くす上で,部落差別を無くしていかないといけない。

・ お互いが一緒に学び,生きていける社会になればよい。

・ 施策はなくなってきているが,心の中の差別はまだまだある。

    

まとめ

・ この芝居の大きなテーマは尊敬である。水平者宣言の中に書かれている「人間を尊敬することによって一切の差別から解放される」というメッセージを我々なりにどう受け止めるのかということだ。「人間」の前には,何ひとつ修飾語がついていない。人間であるということによってかけがえのない存在として受入れ,尊敬のうちに出会うということが要請されているのではないかと思う。

・ 差別によって差別をされる人も多くのことを失う。差別をする人も多くのことを失っている。ということを今日のお芝居をとおしてそれぞれが確認できたではないか。その差別の状況を越えていくのは,差別をしない,差別を許さない ということも大事だが,更に,そこを突き抜けて互いに尊敬することによってそのことが可能になるのではないか。

 

 

3 成果

 ・ 250名以上の参加があった。

・ 会場の参加者から,芝居に関する感想や意見など積極的な発表があった。単に芝居を見たり,講演をきいたりするだけでなく,双方向の意見交換ができた。

 ・ 識字学級の生徒さんが熱心に参加されていた。

 ・ 会場にステージ,照明,音響設備などが完備されていたため,芝居を上演しやすかった。

 ・ ひとり芝居について,早朝から第三錦林小学校の先生方にスタッフとしてご協力をしていただいた。

 

 

  

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